2020 Fiscal Year Research-status Report
Ethnographic study on Balinese performing arts in Jakarta
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17K03277
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
吉田 ゆか子 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 准教授 (00700931)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | バリ芸能 / ジャカルタ / メディア / 新型コロナ感染症 / ルジャン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はCovid19パンデミックの影響で現地調査を実施できなかったが、ジャカルタとバリ島におけるバリ芸能の現状についてオンラインで情報収集をおこなった。SNSを通じて、ジャカルタの調査協力者たちとも継続的に連絡を取り、ジャカルタの芸能団の活動状況についての情報も蓄積しているところである。 そうしたデータを用いながら、感染症がバリおよびジャカルタのバリ芸能実践に及ぼしている影響および、感染症に対する芸能の側からの応答について考察し、その暫定的な成果を東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所の全所プロジェクト「アジア・アフリカの現代的諸問題の解決に向けた新たな連携研究体制の構築」において「コロナ状況と向き合うバリ芸能-啓発・慰撫・祈り」と題して口頭発表した。 こうしたオンライン調査のほか、昨年度までの調査の成果を整理し、論文や口頭発表としてまとめた。2019年頃までジャカルタとバリでほぼ同時的にみられた奉納芸ルジャン・レンテンの流行について、特にメディアの及ぼした影響を分析した論考「メディアのなかの芸能/『メディア』としての芸能:バリ島の奉納舞踊の事例から」を文化人類学の教科書『モノとメディアの人類学』の一部として発表した。また、国際シンポジウムにおいて、特にジャカルタでバリ芸能を学んだり上演したりする非バリ系住民の芸能実践における衣装の役割を分析した論考Performing Self, Otherness, or “Ourness”?: Balinese dance and its costumes in Jakartaを国際オンラインシンポジウムにて口頭発表した。これについては現在プロシーディングスをまとめているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Covid19の影響により調査計画が予定通りには進行しなかった。当初予定していなかったオンライン調査の方で新たに得られた知見はあるものの、ジャカルタおよびバリでの現地調査は延期となったままである。 研究成果のアウトプットの方は比較的順調であり、本年度も国内外のシンポジウムや書籍をつうじて発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
感染予防のため芸能上演や競技会やレッスンがオンライン化するなかで、芸能と「場所」の関係性の解明はより重要でかつ現在的なテーマとしてうかびあがってきた。芸能において人々が集い場を共有することの意味や、ジャカルタという都市でバリ芸能が見せる特有の発展の在り方についての考察をこれからも続けてゆく必要がある。2021年度も、オンライン調査を継続しつつ、ジャカルタのバリ芸能を「場所性」の観点から考察する。その成果の一部は、International Council for Traditional Musicの東南アジア部会PASEAにて発表し、海外の芸能研究者と意見交換する予定である。くわえて、状況が許せば、年度の後半に渡航し、これまで調査拠点としていたいくつかの芸能団や寺院の現在の状況について調査する。
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Causes of Carryover |
今年度Covid-19のパンデミックにより現地調査が延期となったことと、一件国際会議が一年延期になったこと、という2つの理由により、次年度への繰越が生じている。2021年度は、オンラインにて開催されことになったその国際会議のために、英文校閲や資料購入のための支出をするほか、状況が許せば年度後半にインドネシアに渡航して、ジャカルタにおける現地調査を実施する。
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