2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K03561
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
木下 健 福岡工業大学, 社会環境学部, 助教 (30735296)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 洋平 流通経済大学, 法学部, 助教 (10780281)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 地方議会 / 議会改革 / 自治体 / 議会基本条例 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度の研究では、町田市議会における改革の取りまとめを行うと同時に、本研究の全体の位置づけに関する先行研究の整理を行った。第1に、町田市議会がどのように議会改革を実施してきたのか、その過程を明らかにした。議会運営委員会を中心とした改革は、透明化や討議機能の強化に関する成果が出やすいと予想した。その予想通りの結果が過程追跡より明らかになった。町田市の事例を踏まえ、議会運営委員会による改革は、透明化及び討議機能の強化に資することが明らかとなった。また、特別委員会による改革は、一部の立法機能や住民の議会への参加を強化していたといえる。 第2に、議会基本条例の制定は議会改革にとって、本質的に重要なものではないことが明らかとなった。町田市の事例のように議会基本条例を制定していなくとも、十分に改革を進めることができるといえる。議会基本条例の制定は、運用面での実態を伴わなければ、形だけの議会改革であるといえる。町田市では議会基本条例を制定しないからこそ、行動を伴う実質的な改革となっているといえる。 第3に、議会改革の成果を挙げる要因として、議員の平均年齢が若く女性議員が多いことに加え、事務局職員の補佐が挙げられる。事務局の職員がスペシャリストとして、議会の改革を補佐し、積極的に情報公開を進めることで、議会の傍聴者数が増加しているものと考えられる。議員、議会、議長、事務局職員という各アクターが連携し、議会改革を推進しようとする姿勢が成果として表れているといえよう。 討議機能、立法機能、監視機能といった議会機能を確保するため、前提として住民が議会に参加し、議会を監視する透明性を確保することが必要となる。また、選挙において、競争メカニズムを働かせ、住民が議会・議員を監視することが、二元代表制を機能させるための前提として求められる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の進捗はおおむね順調に進展している。その理由として、データ分析を終え、一応の結果を示したこと、また町田市議会の事例研究を終え、その結果と含意を示したことが挙げられる。今後の研究ではさらなる事例研究を行い、本研究全体の取りまとめを行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究では因果メカニズムについて十分に明らかにできたとはいえない。町田市における事例研究を扱ったものの、調査会・検討会で検討、常設の議会改革推進組織、専門家・住民を含む組織についての事例研究を行えていない。これらの形態により議会改革を進めた場合に、どのような因果メカニズムで成果が生まれるのかについては、更なる検証が求められる。今後、いくつかの自治体に関して事例研究を行い、因果メカニズムを明らかにする過程追跡を行うことを検討している。
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Causes of Carryover |
ヒアリング調査のための費用を残しており、次年度使用額が生じている。
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Research Products
(2 results)