2017 Fiscal Year Research-status Report
国際規範形成における脱国境型市民社会ネットワーク機能の変遷と今後の課題
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17K03592
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
目加田 説子 中央大学, 総合政策学部, 教授 (00371188)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 市民社会 / 軍縮 / 人道主義 / 核兵器 / 対人地雷 / クラスター爆弾 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、1990年代以降顕著になった非政府組織(NGO)を中心とした脱国境型市民社会ネットワーク(トランスナショナル・シビル・ソサエティ、以下TCS)の機能が過去20年間でどのように変化したのか否かについて検証し、課題抽出することを目的としている。 2017年度は文献を中心に研究を進めつつ、同年7月に核兵器禁止条約(以下、核禁条約)が成立した点に注目して情報収集・分析を行って来た。それは、核禁条約成立過程には、1997年、2008年にそれぞれ成立した対人地雷禁止条約(以下、オタワ条約)とクラスター爆弾禁止条約(以下、オスロ条約)との類似点が認められることから、本研究の目的である過去20年間に渡るTCSの機能を検証する上で不可欠と考えたからである。 特に軍縮分野においては従来の軍備管理軍縮という枠組みと同時に「人道的軍縮」という視点から多様なアクターが関わり軍縮に取組むアプローチが注目を集めている。核禁条約が成立した背景にも同様のアプローチを積極的に推進して来たTCSの存在が認められたことから、本年度は特に同条約に注目して研究を進めた。 また、筆者は1998年に執筆した論文「核軍縮に「市民」はどう関わるか」にてオタワ条約及び同条約の成立過程である「オタワ・プロセス」が核兵器の禁止にどのような条件下において応用可能となるのか分析していたことから、約20年を経て成立した核禁条約を改めて検証した。 更に、核禁条約成立に寄与したとして2017年のノーベル平和賞を受賞した「核兵器廃絶国際キャンペーン、以下ICAN」のベアトリス・フィン事務局長にヒアリングした。その内容は長崎大学編集Journal for Peace and Nuclear Disarmamentに掲載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2017年度は約10年の時を経て新たな軍縮条約が成立し、その過程にはTCSが深く関与していたことから、本研究の目的であるTCS(ICAN)の役割を分析する上では貴重な機会となった。また、ICANの事務局長であるベアトリス・フィン氏が初来日した際にインタビューして詳細を伺う機会にも恵まれた。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は、2017年度に十分実施できなかったフィールド調査を積極的に進めたいと考える。取り分け、TCSの関係者、核禁条約成立過程に携わっていた当事者へのヒアリングを行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
フィールド調査が当初予定していたスケジュールから伸びている為。
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