2019 Fiscal Year Research-status Report
国際規範形成における脱国境型市民社会ネットワーク機能の変遷と今後の課題
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17K03592
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
目加田 説子 中央大学, 総合政策学部, 教授 (00371188)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 地雷 / 核兵器 / 市民社会 / クラスター爆弾 / 人道的軍縮 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では21世紀以降、非政府組織(NGO)等が中心となって形成される脱国境型市民社会ネットワーク(以下TCS)の機能変化について検証し、課題抽出を目的としている。 2019年度は、ケーススタディとして引き続き朝鮮半島における地雷問題及び核兵器禁止条約に焦点を充てつつ調査を進めた。 1.朝鮮半島では2018年冒頭より南北首脳会談や米朝首脳会談が相次いで開催され、2019年2月のハノイにおける米朝首脳会談は交渉が決裂したものの、南北間融和状態は維持されていた。同年9月には国連総会において韓国の文在寅大統領は非武装地帯(DMZ)の「国際的平和地帯」利用を提案。また、同演説の中でDMZの地雷除去に初めて言及した。 同発言を受け、韓国内では国内のNGOが先導する形で政府、国際機関、国際NGOを巻き込んだ除去計画の議論が進められた。そもそも除去は2018年9月の南北軍事合意に基づくものである一方、DMZにおける地雷問題の全容や、除去の方法や技術、期間やコストに関するフィーシビリティ・スタディについては未着手の状態だった。 そうした中、韓国国内のNGOが、国際的ネットワーク(TCS)の協力を得ながら国際機関を動員して韓国政府を動かす流れを整えた事は注目に値する。 2.核兵器禁止条約については、米国ハーバード大学法科大学院講師でNGOの立場から同条約起案で中心的役割を担ったボニー・ドチェルティ氏よりヒアリングを行った。同氏はクラスター爆弾禁止条約成立過程にも関わっていたことから、人道的軍縮全般について議論を深められたことが極めて有意義であった。核兵器禁止条約は、2020年にも発効する可能性があり、引き続き注視していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、2019年度後半に予定していた海外出張が全てキャンセルとなったことから、研究計画の変更を余儀なくされた為。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は新型コロナウィルスの影響から海外渡航を伴う資料収集や調査は実施困難であることから、Zoom等を用いたヒアリングを予定している。 また、2020年度は本研究の最終年度であることから、これまでの研究調査やヒアリング内容をまとめる作業を進める予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの感染拡大により当初予定していた海外渡航を伴う研究調査やヒアリングがキャンセルになった為。
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