2021 Fiscal Year Annual Research Report
Transition and Future Challenges of the Function of Transnational Civil Society Networks in International Norm Formation
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17K03592
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
目加田 説子 中央大学, 総合政策学部, 教授 (00371188)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 市民社会 / 人道的軍縮 / 地雷 / クラスター爆弾 / 核兵器 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、非政府組織等の市民社会団体が国境を超えて連携しながら国際規範形成に及ぼす影響力について、過去30年の取組の検証と課題抽出を目的としている。 2021年度は、国際法が持つ規範力について具体例を用いて検証を進めた。これは、一般的に条約の効力を最大化させる方法として、条約の成立・発効後には加盟国を増やし普遍化を促進させることが最優先される一方で、加入国数が一定の水準に達した後は伸び率が鈍化し、結果として条約の普遍化が停滞する傾向にあることから、条約加入国数に関わらず条約が持つ規範性に着目して検証すべきだと考えたことがある。 具体的事例として、朝鮮半島における対人地雷問題に焦点を充て、対人地雷禁止条約(MBT)未加入国である韓国において地雷政策が如何に変化してきたのかにつき検証した。朝鮮戦争が休戦状態のままである状況下では、韓国の地雷政策は米国の安全保障政策の影響を受け、韓米両国の政権交代等によっても政策の揺れがみられる。また、韓国政府の独自判断でMBTに加盟することは現実的選択肢にはあり得ない状況がある。しかし、こうした制約下にあっても、1)MBT発効時に比して韓国の地雷政策は大きな進展を見せて来たこと、特に地雷除去及び犠牲者支援においてMBTに準じた政策が打ち出されて来た事、2)背景には、韓国の市民社会が築いてきた国内外の市民社会ネットワークが政府の政策転換を促して来た事等が明らかになった。更に韓国における事例検証は、その後成立した他の人道的軍縮条約(クラスター爆弾禁止条約や核兵器禁止条約)がいかに規範力を強化し得るのか分析する上で多くの示唆を与えるものであることが解った。 尚、研究成果については、長崎大学核兵器廃絶研究センター発行のポリシーペーパー「「人道的軍縮」と市民社会:韓国の対人地雷対策の検証」として発表した。
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