2020 Fiscal Year Research-status Report
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17K03615
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| Research Institution | Tohoku University |
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Principal Investigator |
黒瀬 一弘 東北大学, 経済学研究科, 准教授 (80396415)
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| Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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| Keywords | Multi-sectoral model / Two-class model / Capital theory paradox / heterogeneous capital / structural change |
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| Outline of Annual Research Achievements |
産出量・雇用・消費に関する構造変化の規則的なパターンが多くの国々の経済成長において観察されているが，それらの研究が資本を同質な要素として扱い，物的資本の蓄積に関する規則性を看過している。そこで，本研究では異質な資本財の存在をモデルに組み込んだ多部門モデルを構築し，構造変化に関する考察を深めることを目的としている。
今年度は起こった研究は主に2つである。第1は，レオンチェフ生産技術に基づき異質な資本財を組み込んだモデルを構築し，定常均衡に関する考察を行った。その結果，資本を同質な要素とみなす新古典派生産関数から得られる資本産出比率や利潤分配率の変化と矛盾する諸結果が得られる可能性を指摘した。
第2は，構造変化とカルドアの定型化された事実の関係に関する研究のサーベイを行ったことである。カルドアの定型化された事実とは，多くの先進国の経済成長プロセスにおいて観察される規則的なパターンであり，それはハロッド中立的な技術進歩を加味したソローモデルにおける定常状態で得られる結果と整合的であるため，一般に構造変化とは相容れない。したがって，均斉成長を概念的に拡張し，構造変化との両立を探るのがこの種の研究の標準的な方法である。本研究では，この種の研究が異質な資本財の存在を考慮していないこと，つまり物的資本構成の構造変化を分析してないこと，そして異質な資本を考慮した場合，拡張した均斉成長という概念では，カルドアの定型化された事実と構造変化の両立を分析できない可能性を指摘した。第2の研究は国際雑誌に投稿中である。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウィルス蔓延の影響により，学会報告を始めとした研究計画を予定通りに進めることができなかったため。
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| Strategy for Future Research Activity |
研究期間を延長したので，今年度実行できなかった研究を進めていく。今年度，レオンチェフ生産技術に基づき異質な資本財を組み込んだ2階級モデルを構築し，その定常均衡に関する分析を終えた。今後は，定常均衡への収束，その安定性などに関する分析を進め，学会報告を行い，国際雑誌への投稿を目指す。
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| Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの蔓延の影響により，国際学会への参加ができなかったため。
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