2017 Fiscal Year Research-status Report
都市体系を考慮した工業団地開発による地域経済活性化の動学的モデル分析と検証
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17K03712
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
石川 利治 中央大学, 経済学部, 教授 (80266262)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 昭夫 中央大学, 経済学部, 教授 (50149473)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 工場立地 / 生産活動構成 / 内部経済 / 外部経済 / 都市化の経済 / 都市圏 / 輸送基盤 |
Outline of Annual Research Achievements |
工業団地の立地点と工業団地におけるテナント工場の業種がいかに関連するかを、カオス現象を用いる分析枠組みの下で理論的分析を行った。すなわち3種類の異なる業種に属する企業を想定して、それぞれ2工程により中間財と最終財を製造する想定をする。次いで中間財は移転価格を用いて組み立て工場に搬送されるモデルを構築する。そして中間財を製造する工程の最適立地点と最適移転価格をいわゆるgradientdyanamicsの手法で導出する。この数値計算において出現するカオス現象を用いてLocational Prospective Area(LPA)を確定する。このLPAは、この地域内では工場の利潤はほぼ同じであり、いはゆる目標利潤を得られる地域とする。このようなLPAを3つの異なる業種の工場に関して導出する。3つのLPAが重なる地域内ではこれら3業種による工場で工業団地が形成される可能性が高いことを示した。 これにより工業団地の立地点は一か所に限定される必要はないことが理論的に明らかにされる。また工業団地の立地点とテナント工場の業種は相互に連携していることが示される。 LPAの空間的広さとその出現する位置に対して伝統的立地因子がいかに作用するを分析しした。輸送基盤の整備度による輸送費の上昇あるいは低下は、いずれもLPAの出現地域を変えることに寄与する。次いで、工場団地が生み出す外部経済の立地的作用を分析した。この外部経済の高低はテナント工場の性格により変化する。そして個別工場の利潤水準に影響する。これにより工場団地において生み出される外部経済は工場の立地、そして工業団地の立地とそのテナント工場の業種組み合わせに影響することを明らかにした。さらにこの外部経済が都市圏おいて発生する都市化経済そして工場内においての内部経済と連動して工業団地における工場の利潤に作用することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画の立案時においては重要な立地因子の基本的立地作用の分析を計画していた。実際の理論的分析においては基本的立地が様々な経路を通してその影響を思わぬ分野で発揮することが判明した。計画の大枠においてその進捗状況は普通の速度でなされているが、研究の深度の面で大きな成果が得られることになった。
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Strategy for Future Research Activity |
伝統的な立地因子である輸送費と集積の経済が工業団地の立地と団地内の生産活動構成に明確な影響を与えることが判明した。そこでもう1つの伝統的立地因子である労働費がいかに工業団地に影響するかを分析する。次いでグローバル化経済において重要な立地的影響を発揮する法人税の分析を行う。その後、都市体系と工業団地の関係の理論分析に移動する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は研究の打ち合わせがオランダでのヨーロッパ地域学会の開催時において行うことができたことにより予算を行使する必要が減少した。
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