2019 Fiscal Year Research-status Report
都市体系を考慮した工業団地開発による地域経済活性化の動学的モデル分析と検証
Project/Area Number |
17K03712
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
石川 利治 中央大学, 経済研究所, 客員研究員 (80266262)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 昭夫 中央大学, 経済学部, 教授 (50149473)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 工場立地 / 工業団地 / 集積経済 / カオス現象 / 都市体系 / 地域間連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は本研究プロジェクトの最終段階にあり、地域に形成される都市体系が工業団地の生産活動にいかに影響するかの動学的考察結果の整理とまとめ、そして研究成果の公表を行う期間である。この2019年度では工場で生じる規模の経済と工業団地において発生する地域経済、そして都市体系から生み出される都市体系経済、さらに都市体系間で生じる地域間連携経済がいかに、相互作用を通して、工場の生産活動に影響するかを理論化し、数式展開まで伸展させることができた。次いで、この成果の一部を日本の47都道府県の都市体系と地域経済および各地域の工場生産構成に応用分析したところ、47の都道府県の特徴が空間的に規則性をもって配列できることが判明した。本プロジェクトの考察・分析は今後の考察においてかなり期待ができることが裏付けられた。 次いで本研究の考察方法の特徴である動学的視点からの分析においても以下のような成果を達成できた。第1に、ここまでの考察で工場立地分析から工業団地形成に至る過程においてカオス的現象が生じることが示されていたが、そのカオス現象は経済政策の実行にかなり有用であることを明示できた。第2に企業による特徴の異なる複数の工業団地から1つを選択する場合において、その選択過程においてリー・ヨーク的意味でのカオス現象が生じることを明らかにできた。 このような考察をさらに進展させる見通しが明確になっててきたので、現在、本研究プロジェクトを1年間延長しその成果の拡充を図っている。成果は順次整理してと発表される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
工業団地においての集積経済の工場への分析を進める過程において、工業団地自体とその周辺に粘着する4種類の集積経済の相互作用に関する数式表現ができたこと。これに加えて工業団地を取り巻く、都市体系経済、そして都市体系間で生み出される地域間連携経済を取り込んでの分析が進展し、その応用分析が首尾よく日本の地域経済を表現できた。 さらにカオス現象の応用可能性が見出されたことにより、この分析の範囲が予測以上に拡大できた。
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Strategy for Future Research Activity |
都市体系経済と地域連携経済を既存の集積経済分析に加えて導出された考察結果を、日本の地域経済自体および各地域における工業団地の生産構成の特徴に応用することにより、集積と連携経済の生産活動への影響を分析する。 カオス的現象を考察に取り込むことにより、工場の行動様式をより現実的に把握し、上記の集積と連携経済の工場立地を説明し、考察の有用性を向上させて行く。 予想される課題としては論理の有効性と精緻性を高める証明と応用事例をいかに積み重ねて行けるかである。
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Causes of Carryover |
予定していた計画以上に分析が進展し、その論文作成およびその研究成果の発表のために準備した専門家会議への出席が新型コロナ感染予防のため中止されたことによる。
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Research Products
(4 results)