2018 Fiscal Year Research-status Report
議会議事録を活用した地方自治体における意思決定過程の研究
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17K03785
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
川浦 昭彦 同志社大学, 政策学部, 教授 (10271610)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 泰知 小樽商科大学, 商学部, 教授 (50400073)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 地方議会 / 首長 / 議会議事録 / 当選回数 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の主な研究実績は、都道府県議会での知事と議員の発言文字数に関する仮説を検証したことである。知事・議員ともに任期が定められており、任期満了後には再選を望んでいるとすれば、政治活動の実績に対して有権者からの評価を得ることは重要である。都道府県議会は有権者に公開されている政策決定の場であることから、知事・議員ともに議事の過程で多く発言をすることにより、政治家としての責務を果たしていることを有権者に対してアピールすることができる。 しかし、議会ではその審議日程などの制約により、必ずしも自由に発言をすることができる訳ではなく、知事・議員の間で発言時間を取り合う側面もあると考えられる。その場合には、知事が多選になればなるほど、より大きな権力を獲得しているため、議員に対してより多くの発言機会を得ているのではないかとの仮説を立てることができる。 2011年度~2014年度の4年間について、全国47都道府県議会本会議議事録から自然言語処理の技術を利用して、知事・議員の発言文字数のデータを整備した。そのデータを利用してパネル分析を行ったところ、首長の発言数、首長と議員の発言数の比率いずれにおいても、その決定に知事の当選回数が統計的に有意な影響を与えていることが確認された。この結果は、都道府県知事は当選を重ねることで、本会議でより多くの時間をかけて自らの政策を説明する機会を得るとの仮説と整合的である。 この研究成果を纏めた論文は “Elected Officials in the Local Assembly: Analysis of Prefectural Plenary Session Transcripts” として2018年6月に兵庫県立大学で開催された日本経済学会春季大会の「政治経済学」分科会にて報告された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度までの進捗状況がおおむね順調であると評価できるのは、すべての都道府県について議会議事録を4年間について収集し、データベースを整備したうえで知事の当選回数と発言文字数に関する仮説の検証を行うことができ、学会でその成果を報告できたためである。 しかし、そこから更に分析を進めて、議会での発言文字数の多寡が、都道府県の政策意思決定に与える影響を考察することが出来ていればより望ましかった。その分析は現在進行中ではあるものの、まだ明確な結論を得るには至っていない。それにより評価は一段階低くなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画最終年度における最優先事項は、都道府県を対象にした研究からこれまでに得られた分析結果をまとめた論文を、英文査読付き学術専門雑誌に投稿できるレベルにまで改訂を進めることである。そのために、2019年5月にはオランダで開催される国際学会において論文報告を行う。同時に、追加的な仮説についても分析を完了させ、その成果を論文に纏める。 また、研究対象も都道府県から市町村に拡げる。先ず、市町村の中でも議会議事録データの整備が既に進んでいる政令指定都市(20市)・中核市(47市)をサンプルとして分析する。この67市を対象に、初年度に都道府県について行ったのと同様の研究を行う。県内総生産のように、都道府県単位で利用可能なデータのうち市の単位では必ずしも作成されていないデータについては、代替する変数を検討する。ここで得られた分析結果も論文としてまとめ、今後研究会・学会などで報告する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、海外出張を行ってデータ分析の手法について海外研究者と打ち合わせを行う予定であったものの、日程の関係で実現できなかったためである。今後の使用計画の主な項目は、2019年5月にオランダのアムステルダムで開催される国際会議での研究報告である。
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Research Products
(2 results)