2019 Fiscal Year Research-status Report
日本の内部労働市場の選抜機能の解明-業績とその後の昇進、職務配置との関係
Project/Area Number |
17K03793
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
上原 克仁 静岡県立大学, 経営情報学部, 准教授 (60509157)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
都留 康 一橋大学, 経済研究所, 特任教授 (00155441)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 人事データ / 業績データ / 内部労働市場 / 人事考課 / 自動車販売会社 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで、企業の内部労働市場の機能について数多くの理論研究が行われてきた。しかし、個人情報保護に関する法的制約とそれに伴うデータの入手困難性から、それを裏付ける実証研究はなかなか進んでいないのが現実である。本研究は国内大手自動車販売会社A社を対象に、入手した18年の長期にわたる人事データとともに業績データを用いて、昇進と職務配置に焦点を当てた内部労働市場の選抜機能の実態を解明することにある。本研究のように、根拠となる生産性や人的資本の蓄積状況を表すデータをもとに昇進や職務配置の分析を行った研究はあまり散見されず、日本の内部労働市場の解明に少なからず貢献できるものと思われる。 Industrial & Labor Relations Reviewに採択された論文は、1998年から2004年までのデータを用いてマルチタスクなインセンティブと主観的業績評価の有益性について分析を行ったものである。A社の新車販売担当者の主観的なパフォーマンス評価は、測定が困難な非販売タスクの存在で客観的指標である販売業績にそれほど敏感ではないことを示した。この結果は、評価者である課長および店長が、この人事考課のうちの主観的評価を使用して、若手社員のメンタリングや長期的な顧客関係の構築などといったタスクを遂行するよう新車販売担当者にインセンティブを付与していることが確認できた。加えて、この主観的評価から将来の売上高を予測することができ、評価には実際の労働者の業績に関連する有益な含意があることを示唆した。さらに、自らの予想よりも低い評価を受ける労働者の反応は上司の経験によって異なることも明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
追加で入手したデータの入力に多大な時間を要した。これにも目途がついたので、最終年度は分析と論文執筆に注力したい。
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Strategy for Future Research Activity |
共同研究者や連携研究者と連携して、研究に注力する。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染症の影響で研究会等の実施が困難になったため。 データの入力等に時間を要し、外部に委託するデータ整備の依頼等まで作業が進まなかった。 研究会等の実施ならびにデータ整備にかかる謝金に充てる予定である。
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Research Products
(3 results)