2020 Fiscal Year Research-status Report
19・20世紀世界経済統合のなかのドイツ植民地経済論
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17K03855
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
浅田 進史 駒澤大学, 経済学部, 教授 (30447312)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ドイツ / 植民地主義 / 植民地経済 / 帝国主義 / グローバリゼーション |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の計画では、2020年度はこれまで行ってきた史料収集のフォローアップ調査を中心に、国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))へと研究を一段と深化させることを目的としていた。 しかしながら、新型コロナ感染症にともなう渡航制限のため、フォローアップ調査は中止せざるをえなかった。また、学務と学会活動においても新型コロナ感染症への対応に追われ、こちらの研究を進めるために必要な時間を確保することが困難であった。さらに、新型コロナ感染症による影響で、国際共同研究加速基金による長期在外調査は延期せざるをえなかった。 研究計画を予定通り進めることはきわめて困難であったものの、本研究計画に関連する研究成果として、榎一江・竹田泉の2名と共同で編集した論集『グローバル経済史にジェンダー視点を接続する』を日本経済評論社より2020年9月に刊行した。これは2017年度に開催された同じ題名の政治経済学・経済史学会春季総合研究会に新たな論考を加えて、発展させたものである。同論文集に寄稿した序章「グローバル経済史にジェンダー視点を接続する」に加えて、第6章「ドイツ植民地に模範的労働者階級を創造する」では、19世紀末・20世紀初頭のドイツ植民地経済をめぐる政策論でもジェンダー要因が結びついていたこと、そしてドイツ統治下の膠州湾租借地で進められた工業化の現場ではジェンダー要因が分かちがたく関係していたことを明らかにした。 これに加えて、新型コロナ感染症以前に予定されていた計画を見直しつつ、収集した史料の分析と学会誌への投稿準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要で説明した通り、新型コロナ感染症による渡航制限のため、フォローアップ調査が進まなかったこと、また感染症への対応にともなう従来とは異なる学務・学会活動に時間を割かざるをえなかったことで、当初の想定より若干の遅れがみられる。 具体的には、昨年度に行った政治経済学・経済史学会での自由論題発表「19世紀後半・20世紀初頭のドイツ船籍によるアジア間中国系労働者輸送」を学会誌として投稿する予定であった。しかし、研究実績で紹介した論文集の公刊を優先させたこともあり、まだ執筆段階にある。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、渡航期間を翌年度に持ち越した国際共同研究加速基金へと研究をつなげるために、これまで収集した史料の整理・分析を継続する。また、2020年度に完成予定であった論文を仕上げ、学会誌に投稿する。 2020年度に予定していた史料のフォローアップ調査については、新型コロナ感染症の動向に合わせて再検討する。やはり文書館への史料調査が困難であることが判明した場合には、必要な史料についての複写を文書館に依頼し、国際共同研究加速基金による研究に接続させていく。
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Causes of Carryover |
2020年度に予定していた現地でのフォローアップ調査が新型コロナ感染症の拡大のため、取りやめたことが最大の理由である。 2021年度でのフォローアップ調査を予定しているが、今後の新型コロナ感染症の動向をふまえ、文書館に史料の複写を依頼するなど、可能な限りの対応を検討する。
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Research Products
(1 results)