2020 Fiscal Year Research-status Report
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17K03862
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Research Institution | Hiroshima Shudo University |
Principal Investigator |
坂根 嘉弘 広島修道大学, 商学部, 教授 (00183046)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 農業技術普及 / 肥料行政 / 不正肥料 / 肥料検査 / 朝鮮総督府 / 朝鮮農地令 / 小作慣行 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、コロナウイルス感染症の拡大により、府県行政文書の調査・分析並びに開発経済学グループとの交流(問題関心・分析視角のブラッシュアップ)については、進めることが出来なかった。 このように大学外での調査・研究を進めることができなかったので、今年度は、図書館(ILL)を通した資料収集とこれまで収集した資料を用いての、論文作成・著書執筆に力を入れた。 ①論文「不正肥料と市場」では、第5次勧業会の不正肥料取締方法についての分析、肥料検査官の全国的な配置とその待遇、大阪府における肥料取締法の運用実態、道府県(農事試験場)における依頼分析の実態についての分析を進めた。この研究は筆者のこれまでの不正肥料研究の延長上に位置づけられるものである。 ②坂根嘉弘『評伝朝鮮総督府官吏・吉田正廣とその時代』では、吉田正廣の事績に沿って、農学校という中等教育機関の植民地農業行政に持つ意義、行政機構における判任官の不可欠な存在、判任官から高等官への昇叙の官僚制に持つ意味、植民地期朝鮮における学術研究・異文化研究について分析を行うとともに、植民地期朝鮮における農地行政(朝鮮小作慣行調査、朝鮮農地令)について、新事実を発見するとともに、日本と朝鮮の小作慣行の違いを「制度」institutionの視点から明示した。その前提になる理論的フレームとして、朝鮮の農業発展の筋道を開発経済学の知見を取り入れて叙述した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナウイルス感染症の拡大により、府県行政文書の調査・分析が行えず、今年度の研究計画が崩れたが、転禍為福で、論文作成・著書執筆に力を入れることができた。そのため、「おおむね順調に進展している」と評価している。 今年度の研究成果としては、論文「不正肥料と市場」と『評伝朝鮮総督府官吏・吉田正廣とその時代』の執筆・公表がある。このほかに、社会経済史学会編『社会経済史学事典』の「農業技術の発展(日本)」を執筆し、英語論文「信頼と地主小作関係 ―日本的「村」と経済発展(Ⅰ)」を準備しつつある。次年度に公表予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度が最終年度であったが、コロナウイルス感染症拡大により大学外での調査・研究ができなかったので、補助事業期間延長を申請し、承認された。したがって、次年度が最終年度となる。 コロナウイルス感染症拡大の状況にもよるが、最終年度の2021年度には、①府県行政文書を中心に関係資料の収集を行い、その検討を行う、②開発経済学者との研究のコラボレーションを引き続き実行する、③研究のとりまとめ作業を行う、ことを計画している。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染症拡大により大学外での調査研究ができなかったため、補助事業期間延長を承認いただいた。2021年度もコロナウイルス感染症の状況は予断を許さないが、可能な限り、2020年度に計画していた府県庁行政文書の調査を中心に、資料収集を進め分析を進めたい。
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Research Products
(3 results)