2022 Fiscal Year Research-status Report
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17K03862
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Research Institution | Hiroshima Shudo University |
Principal Investigator |
坂根 嘉弘 広島修道大学, 商学部, 教授 (00183046)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 農業技術普及 / 農業政策 / 農会 / 不正肥料 / 朝鮮農地令 / 台湾産業組合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、開発経済学的な知見(開発経済学の理論と方法に基づく問題関心・課題設定や分析視点・手法、途上国の現実)から、近代日本における農業技術普及・農業政策の展開の特徴についての研究を進めるところにある。 分析資料は、主に①地方政府(道府県庁)の行政文書(一次資料)、②農業技術普及関連の刊本類・雑誌類である。近代日本が主対象であるが、比較対象として、植民地期(同時期)の朝鮮、台湾を措定している。 本年度は、①農業技術の普及の前提となる肥料購入・農民金融の展開について、特に台湾におけるそれを検討した。台湾の金融は銀行、信用組合、製糖会社、金貸業者、金融公司、仲買商人、土壟間、農会があるが、フォーマル金融として重要になるのは銀行と信用組合である。ただ、農民金融としては、銀行が中小農民を顧客とすることはないので、産業組合が農民金融の中軸になる。台湾の産業組合は利殖のインセンティブを基礎に成立しており、内地のそれとは大きく違っていた。本年度は、このような台湾産業組合の特徴についての研究を進めた。 ②次年度が最終年度となるため、次年度に研究成果を取りまとめた学術書『アジアのなかの日本:日本の農業集落と経済発展』(科研課題に対する報告書)を刊行するため、その取りまとめの作業に取り組んだ。構成は、第1部農民組織(農会・納税組織の中間団体)、第2部産業組合、第3部不正肥料である。それぞれについて、従来の資料を見直し、調査による未見資料の発掘(調査先は山口県文書館、滋賀県立公文書館、練馬区立石神井公園ふるさと文化館)とその検討を行った。それを踏まえ、これまでの研究成果を整理し、全体を統一的にまとめなおした。 ③台湾産業組合研究については、日本農業史学会で研究報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、台湾産業組合の検討と学術書『アジアのなかの日本:日本の農業集落と経済発展』の取りまとめの作業を行った。台湾産業組合研究は、『アジアのなかの日本:日本の農業集落と経済発展』の第6章に当たる。順調に進んでおり、最終年度になる次年度に刊行できる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度が最終年度になるので、学術書『アジアのなかの日本:日本の農業集落と経済発展』の刊行作業に全力を注ぐことになる。引き続き、未見使用の発掘と論旨の検討を行いつつ、学術書の刊行作業を進めていく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、コロナ感染症のため、資料調査を予定より抑制したことと、次年度に研究成果の最終取りまとめのための、補助的・補足的資料調査を行う予定であったことによる。 次年度は最終年度になるため、科研研究成果の取りまとめの作業を行う。その際、補助的・補足的資料調査を行う必要がある。その調査を実施するために、助成金を使用する。
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Research Products
(1 results)