2017 Fiscal Year Research-status Report
日本の創業者、経営者の意思決定における影響経路の分析
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17K03939
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
河合 篤男 名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 教授 (10275117)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 経営者 / 創業者 / ネットワーク / 育成経路 / 影響経路 / 変革指向性 / イノベーション |
Outline of Annual Research Achievements |
経営者(含む、創業者)の思考様式・行動特性が、どのような影響経路からもたらされるのかを探求することが本課題の目的である。平成29~31年度の研究期間のうち、前半でアクセス可能な日本企業の経営者に対するヒアリング調査を実施し、後半で定量的調査に展開する予定である。 平成29年度においては、経営者に対するヒアリング調査のヒューリスティクスとして、イノベーション能力に定評があり、持続成長を遂げるグローバル企業、米国3M社に係る定性的調査を分析してとりまとめた。創業以来、今日に至る3M社の歴代経営者の思考様式と行動特性、加えてそれぞれの育成経路と抜擢について概観した。その結果、創業以来、「失敗の許容」という経営理念と、数々の失敗の中から生み出された「画期的な見本例(成功事例)」とが密接に結び付き、歴代経営者の根幹的な思考様式となっていることが浮き彫りとなった。それを基盤に、社内に「無数のネットワークが構築」され、「ネットワークから数々の新結合(新事業機会)が創出」されていることも明らかとなった。3M社の歴代経営者らは、ネットワーカーの体現者でもある。そして近年、グローバル展開が一層進む3M社において、「ネットワークがグローバルに拡大」するとともに、「社員の国籍やキャリアの多様性も増大」している。それに伴い、「増大する多様性をマネジメント」できる人材の育成と抜擢が課題となっていることが分かった。 このような結果を参考に、平成30年度より、日本の経営者に対して、「経営哲学」、自分にとって欠かせない「ネットワークの概要」と「ネットワークからの影響」を中心にヒアリングを実施する予定である。その過程で、「ネットワークの構築力」と「ネットワークの活用力」からみた優れた経営者像の提示を試みたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒューリスティクスとしての米国3M社に係る定性的調査の分析とその取りまとめ(書籍としての出版)に時間を要した。その結果、平成29年後後半より実施予定の、日本の経営者(含む、創業者)に対するヒアリング調査開始が遅れたためである。 一方、3M社に係るとりまとめから、「ネットワーク構築力」、「ネットワーク活用力」、そして「経営哲学」がキーワードとして浮かび上がり、それらの関係性への焦点の絞り込みが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度にアクセス可能な日本の経営者(含む、創業者)に対するヒアリング調査を展開する。経営者が構築しているネットワークの形成過程とネットワークからの影響を中心に聞き取りを行う。経営者の思考様式・行動特性と、構築されたネットワークとのダイナミックな関係性に係る仮説構築を試みる。 平成31年度には、定性的調査をもとに定量的調査に展開する。平成30年度のヒアリング調査の過程において、定量的調査の対象者確保に努める。定量的調査により、構築した仮説の検証を進めたい。
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Causes of Carryover |
経営者の育成・抜擢の実態を明らかにするために調査した米国3M社の分析と取りまとめ(書籍として出版)に時間を要したため、平成29年度後半から開始予定であった、日本の経営者(含む、創業者)へのヒアリング調査実施が遅れたため。 平成30年度に、遅れているヒアリング調査を効率的に実施する。その結果をもとに、質問票の開発まで進展させたい。
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Research Products
(1 results)