2017 Fiscal Year Research-status Report
Theoretical and empirical research on competitive advantage by disruptive innovation
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17K03954
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
網倉 久永 上智大学, 経済学部, 教授 (70222693)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 昌宏 上智大学, 経済学部, 教授 (90323881)
小阪 玄次郎 上智大学, 経済学部, 准教授 (90582297)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 経営学 / 経営戦略 / 技術経営 / イノベーション / 市場シェア |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究では、デジタルカメラが銀塩フィルム式カメラを代替してきたように、従来製品にはない新たな価値提案を伴うイノベーションの結果として、市場シェア逆転が起こるメカニズムを解明することを目的としている。事例研究により経験的知見を蓄積し、それに基づいてより一般性の高い数理モデルを構築し、理論・経験の両面から、新たな価値を創造するイノベーションによる業界構造変化のプロセスを考察することを目的としている。 平成29年度には、まず先行研究のレビューを行い、「分断的イノベーション」の概念がどのように定義されてきたか、また市場シェア変動のプロセス・メカニズムがどのように説明されてきたかを整理した。 さらに、コンタクトレンズ業界の事例分析より、「ディスポーザブル(使い捨て)」という新たな価値提案を消費者がどのように評価してきたか定性的に検討した。わが国のコンタクトレンズ市場は、メニコンなど国内メーカーが市場シェアを保持していたが、ディスポーザブル(使い捨て)方式の普及によって、ジョンソン・エンド・ジョンソンなどの外資メーカーの市場を席巻した。ただし、コンタクトレンズ業界では、いまだに従来型のコンタクトレンズ、特にハード・コンタクトにも一定の需要があり、「分断的イノベーション」であるディスポーザブル型が従来型コンタクトユーザーのニーズを捉えているとは言い切れない。事例研究では、ユーザー層を「分断した後」の競争行動に焦点を当てて、各企業のイノベーションに対する行動、その成果について分析を行った。 また、数理モデル分析に関しては、技術や製品のレベル(企業の戦略)と需要者の行動の相互依存を考慮した非協力ゲームを用いて、消費者の選好を表すパラメータが特定の値を取る場合についてのNash 均衡を求めた石井・網倉(2013)を踏まえて、モデルの一般化程度を高めていく方策を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究成果を、日本知的資産経営学会、Society for the Advancement of Socio-Economicsなど、国内外の学会で口頭発表している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の通り、数理モデル分析と経験的分析を組み合わせて考察を行い、研究成果を学会誌等に投稿したり、口頭報告を行う予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は少額に留まっているため、平成30年度予算と併せて、計画に沿った執行が予定されている。
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