2017 Fiscal Year Research-status Report
インタラクションを通して変化する顧客とのリレーションシップ・マネジメントの解明
Project/Area Number |
17K04024
|
Research Institution | University of Marketing and Distribution Sciences |
Principal Investigator |
東 利一 流通科学大学, 商学部, 教授 (70268572)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | ビジョン / 文化普及 / 共通価値 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、インタラクティブ・プロセスを通じて変化する顧客とのリレーションシップ・マネジメントの解明である。そのために、3年をかけてサービス企業や小売企業、製造企業における顧客価値創造プロセスの解明を行う計画である。 【具体的内容】自転車部品メーカーのシマノにインタビューを行い、顧客価値創造プロセスを明らかにした。シマノの価値創造プロセスは、4つの時代に分けることができる。1つは創業者時代、2つ目は米国進出、3つ目は欧州進出、4つ目は文化創造、である。1つ目の創業者時代は、いいものを作るだけでなくそれを自ら売る。そこで顧客との会話から顧客ニーズを直接汲み取り、よりいいものを作り上げていくという、その後のシマノのコアを築いている。2つ目の米国進出でも、最終顧客のためにチャネル・パワーを持つ量販店を訪問し需要創造を行ったり、キャラバンを結成して全米の自転車店をサポートして回り、需要の動向を的確に捉えビジネスに活かした。3つ目の欧州でもロードレースチームのために新たな自転車の仕組みを開発し、欧州市場でも認められるようになった。4つ目の文化創造は、米国でのマウンテンバイク市場の草創期からユーザーとともにMTBの普及に取り組んだ。さらに日本では、散走という新しい自転車文化の普及のみならず共通価値の創造もに取り組んでいる。いずれにしても、顧客価値を創造するビジョンをシマノがもって取り組んでいる。 【意義】シマノの事例研究から明らかになったことは、顧客価値創造プロセスは、顧客価値を反映しうるビジョンを基に顧客価値創造プロセスを展開しているということを明らかにした。 【重要性】ビジョンの存在は、これまでの共創価値研究に戦略的視点を与えるという意味で重要である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は、研究の方向性を確定されるためにも3社程度のインタビュー調査を行う予定であった。しかし、シマノの事例研究によって「ビジョン」という今後の研究における鍵概念を発見することができたことは、大きな成果である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、「ビジョンが顧客価値創造プロセスの基になっている」ということを仮説として研究を進めていく。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、インタビュー調査の企業数が減ったためである。 新たに立てた仮説を検証すべく、インタビュー調査を精力的に行っていきたい。
|