2017 Fiscal Year Research-status Report
A Study on Water Accounting Systems for Water Resource Management and Accountability
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17K04045
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
大森 明 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (00340141)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 水会計 / 水循環 / SEEAW / WA+ / 標準水会計制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は研究初年度ということもあり、水循環マネジメントおよび水会計に関する先行事例や先行研究をレビューし、水循環マネジメントとそれに資する水会計システムの現状と課題を整理することに努めた。 水循環は、海で蒸発した水分が雨として山に降り注ぎ、それが、河川や地下水を伝わって下流へと流れ、その間に人々が取水・排水を行って、最終的に海に流れ出るものであるが、こうした水循環は、水資源のマネジメント主体を横断する。そのため、本研究では、文献レビューを通じて流域全体または水系全体を会計実体として捉え、個別の水マネジメント主体の水会計情報を連結していくことで、流域レベル、すなわちメゾレベルの水会計情報を産出し、水循環を考慮した流域全体での意思決定に資する水会計システムの必要性が高いことを把握した。 水会計システムとしては、国連による水の環境経済統合会計(SEEAW)、オーストラリアにおける標準水会計制度および国際水マネジメント研究所が開発した水会計フレームワークを改良した水会計プラスがある。平成26~29年度の基盤研究(C)において、これらの3つの水会計システムの現状を明らかにしたため、本年度は、各水会計制度の水循環マネジメント実務への貢献について、主として文献を中心にサーベイした。日本ではまだ流域を対象とした水会計は試行されていないが、オーストラリアとスペインにおける実践例を把握することに努めた。 次年度以降は、これらの3つの水会計システムを日本の流域において展開できる可能性があるかどうかを検討し、日本版水会計システムのフレームワークを明らかにすることに努めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度、文献を中心に水会計の現状についてのサーベイを行ったが、それについての研究をまとめることがまだできていない。主な原因は、大学行政の負担増大と両親の介護負担の増大に求められるが、本年度は昨年度の遅れを取り戻すべく、研究時間の確保に努めたい。
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Strategy for Future Research Activity |
水会計を巡る現状についてサーベイした結果を早い段階で研究報告としてまとめることにしたい。また、水会計を日本の流域に展開できるかどうかを検討するため、日本における流域協議会等にコンタクトを取り、なるべく早い段階で日本の流域における水マネジメント上の課題を明らかにしたい。また、流域全体を構成する上流の水源部における水資源マネジメントといった、個別領域における水会計の活用についても、日本の事例を中心に明らかにし、本研究で提案する水会計モデルに反映させたいと考えている。
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Causes of Carryover |
本研究において、初年度に予定していた、水マネジメントの実態調査および水会計の現状に関する研究報告に関わる出張を行えなかったことにより、当初予定の支出が行えなかった。 次年度に繰り越した金額については、水マネジメントの実態調査のための出張旅費、および、水会計の現状に関する研究報告を行うための学会・研究会等の参加費および出張旅費に使用する予定である。
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