2020 Fiscal Year Research-status Report
地域資源管理と遠隔地域間連携:「資源化のダイナミズム」をめぐる社会学的実証研究
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17K04123
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
茅野 恒秀 信州大学, 学術研究院人文科学系, 准教授 (70583540)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 地域資源管理 / 地域間連携 / 資源化のダイナミズム / ネオ内発的発展論 / 資源を介した社会ネットワーク / 共感する他者 / 環境史 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は研究期間の最終年度にあたったが、新型コロナウィルスの影響により、国内外への移動を伴う調査の進行に大きな支障が生じた。しかし、以下の3つの取り組みを進捗させることができた。 第1に、本研究で実施している比較事例研究の結果を取り入れながら、環境社会学と社会計画論の交錯領域における編著書『環境問題の社会学』を出版した。同書では、社会学方法論を基盤とした環境問題研究の指針に関する総説的な論文「環境制御システム論の理論射程」を執筆し、世に広く問うた。また、2020年度末は東日本大震災・福島原発事故より10年の節目にあたるため、地域に密着しつつエネルギー政策の有り様を問う論文を2編発表した。 第2に、1年を通じてコロナ禍の影響を色濃く受けたものの、研究期間を通じて実施している地域資源管理と遠隔地域間連携の比較事例研究のための調査を実施した。(1)森林資源を介した遠隔地域間連携については、継続している群馬県みなかみ町と青森県六ヶ所村における現地調査を実施した。2自治体では2016年、2019年にウッドスタート宣言を行っており、その後の経過をモニタリングしている。(2)地域資源管理のフロンティアとしての事例と研究方法を開拓するため、長野県松本地域における太陽光発電所の発電事業者調査を展開した。 第3に、コロナ禍で学会や市民に対する研究成果のアウトリーチの機会は減少し、オンライン主体に切り替わらざるを得なかったが、日本地理学会では2020年秋期学術大会のシンポジウム「自然保護における地理学の役割」でコメンテーターを務め、分野融合の討論に参加した。2019年度に発表した論文「集落はなぜ共有地をメガソーラー事業に供する意思決定を行ったのか 」を基にした諏訪市霧ヶ峰へのかかわりは、2020年7月にNHK長野放送局制作のTV番組において地域密着型エネルギーのあり方について解説する機会を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度までは予定した調査地において計画どおり調査を実施し、各地で掘り下げた現地調査を実施することができたが、2020年度は新型コロナウィルスの影響により、国内外への移動を伴う調査の進行に大きな支障が生じた。このため、研究期間を1年延長することとした。 これまでの研究成果は、各地で住民や行政と緊密にコミュニケーションをとり、研究の中間的成果を適宜、フィードバックしながら進めている他、論文・書籍・シンポジウム等で成果発信を試みている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間を1年延長する2021年度は、研究を以下のように進展させる。 (1)2020年度に実施することができなかったフィールド研究を追加実施して、『地域資源管理の社会的技術』と呼ぶべき単著の構想に基づき草稿執筆を進める。 (2)アクションリサーチ型の研究に発展しているフィールド研究においては、2022年度以降のかかわりを見据えて、論文・図書以外にもアウトリーチを豊富化させる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響により、計画した調査出張をいくつも取りやめたため。主として旅費を2021年度に繰り越すこととした。
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Research Products
(3 results)