2017 Fiscal Year Research-status Report
Study on social liminality of rare disease patients
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17K04126
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山中 浩司 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (40230510)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ヤマモト ベバリーアン 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (10432436)
岩江 荘介 宮崎大学, 医学部, 准教授 (80569228)
樋口 麻里 大阪大学, 人間科学研究科, 助教 (80755851)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 希少難病 / 病の語り / 宙づり状態 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、希少疾患当事者への聞き取り調査を7件、フォローアップ調査3件を実施し、これまでに実施した55件と合わせて合計58名、62件の調査を終えた。このうち、40名のデータの分析を行い、病気の発見と診断、医療、生活、学校、経済、就業・職場、仲間、家族、公的サポート、遺伝、病気と社会の11項目について7月に中間報告書(157ページ)をとりまとめた。報告書は、関係する当事者にすべて該当箇所を確認いただき、プライバシーその他について問題のないことを確認の上、100部印刷し、調査協力者、研究者、関係機関に配布した。 研究成果については、2017年7月に東大で行われた科学社会学会、9月にヨークで行われた英国社会学会(BSA)の医療社会学年次大会において報告を行った。また、10月には国立保健医療科学院で行われた難病相談支援センター職員研修において、中間報告書をもとに当事者の置かれた社会的状況についての研修を実施し、職員から好評を得た。 年度後半には、所属部局の資金の援助も得て、難病をもつ学生の就労支援の仕組み作りについて、大阪府、支援団体、支援企業、雇用企業団体(ACE)、広島大学、京都大学、東京大学などの関係者と意見交換を行い、また、米国での取り組み状況についての情報収集も行うことができた。またこれらの関係者を集めた会議を主催することができた。残念ながら、これらの後半の事業については、科研費の資金が不足したため、所属機関の支援を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
聞き取り調査については、当事者への聞き取りは7件と当初の予定(8件)よりやや少ないが、中間報告書をとりまとめ印刷し関係者に配布できたのは、予定よりも半年ほど早く、研究成果についても、すでに多くの関係者に知られている状況で計画以上に進展したと考えている。また、当事者の社会的状況を改善するためのネットワーク作りについても、大学生当事者に限定してであるが、行政、支援団体、支援企業、雇用企業、専門家、他大学の関係者と会合をもち、広く意見交換を進めており、また、米国における状況についても所属機関の資金援助を得て調査を実施できた。これについても計画以上に進展したと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
聞き取り調査については予定通り、毎年7-8名程度の追加調査を進め、随時フォローアップ調査も実施する。データの分析については、社会カテゴリーとステレオタイプの分析を進め、疾病の社会的イメージと社会的障害の関連について明確にすることを目標とする。また、2018年3月に実施した就労支援のための会議(大阪府、東京大学、広島大学、京都大学、支援企業、支援団体、報道関係者など22名が参加)を母体として、難病者の就労支援のための枠組み作りを進める予定である。中間報告書の概要について英訳を行い、ウェブ上で公表し、海外との連携も模索する。2018年7月にはトロントで行われる国際社会学会(ISA)の大会で報告を行う。実践的な目的については、英文での成果公表と海外の団体との連携と国内における就労支援ネットワークの形成を中心に考える。現在研究代表者と研究分担者(山本)で進めているユネスコチェアへの申請との関係でも国際ネットワーク作りを強化する予定である。
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Causes of Carryover |
年度末に就労支援のためのネットワーク会議を多方面の関係者と開催したが、その際、科研費による支出では大幅に資金が不足したため、所属機関の資金を用いることとした。そのため、端数の支出について調整が困難となり、少額であるが科研費の資金を残すこととなった。
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Remarks |
聞き取り調査で連携している支援団体のHP上に調査概要、調査協力の依頼、中間報告書のサマリーが掲載されています。
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Research Products
(3 results)