2018 Fiscal Year Research-status Report
地域的に顕現する社会的排除の動態的把握―大阪府・国勢調査データの独自集計を中心に
Project/Area Number |
17K04174
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
妻木 進吾 龍谷大学, 経営学部, 准教授 (60514883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 芳正 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 教授 (10254450)
川野 英二 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 教授 (20335334)
西村 雄郎 大谷大学, 社会学部, 教授 (50164588)
島 和博 大阪市立大学, 人権問題研究センター, 特任研究員A (50235602)
内田 龍史 尚絅学院大学, 総合人間科学系, 教授 (60515394)
堤 圭史郎 福岡県立大学, 人間社会学部, 准教授 (70514826)
櫻田 和也 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 都市文化研究センター研究員 (70555325)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 社会的排除 / 貧困 / 国勢調査 / 地域的顕現 / 被差別部落 / 公営住宅 / 近隣効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、貧困・社会的排除が地域的に集積している実態の把握、そしてそれらが地域で顕在化するメカニズムを都市圏の地域構造変動に位置づけながら、さらに独立変数としての地域効果も考慮に入れつつ把握することを目指している。 本年度は、1980~2010年の30年間、7回分の国勢調査データ(大阪府)のうち、直近の大規模調査年(1980年、1990年、 2000年、2010年)、とりわけ2010年、大阪市域について、被差別部落卓越地域に該当する地区の詳細な集計・分析を進めた。また、「排除指標」が高指標値を示す公営住宅比率の高いエリア(公営住宅特性卓越地域)について、大阪市内から3地区選定し、住民基本台帳によるサンプリングを経て訪問面接調査を実施するなど、大阪府下の合計6地区でケーススタディを実施した。 また、貧困・社会的排除を地域的に顕現させる構造的背景として、脱工業化やグローバリゼーションといったマクロな社会変動、雇用政策や経済政策、社会政策などを受けて展開される都市圏の地域構造変動がある。こうした変動を把握するために、大阪府を含むより広い地理的範囲として京阪神大都市圏の変動の把握を試みた。 本年度までに進めてきた、大阪府域の国勢調査データの集計・分析、同データから析出された地区類型から選定した地区の詳細分析、より広域の京阪神大都市圏の国勢調査データ等の集計・分析、6地点のケーススタディ、これらそれぞれに進めてきた成果を統合していく作業が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
被差別部落卓越地域についてのケーススタディについては着手できなかった。当該類型については、少数の地区を選定して訪問面接調査を行うのではなく、全地区について国勢調査データによる分析を行い(既存調査データがある地区についてはその再分析を含む)、あわせてできるだけ幅広く各地区の事情に通じた人へのヒアリングを行うことで代替する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
「被排除地域」の各類型から選定された典型的な地域についてのケーススタディ、国勢調査個票データに基づく独自集計結果を活用した被差別部落特性卓越地域を中心とした選定された各地域の詳細分析、マクロな社会変動、雇用政策や経済政策、社会政策などを受けて展開される都市圏の地域構造変動分析、これらそれぞれをより進めながら、それらの成果を統合し、大阪府域の被排除地域の各類型の30年間の変容と現状を動態的に把握することで、本研究の目的である社会的排除の地域的顕現の動態的把握とそのメカニズムの解明を目指す。
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Causes of Carryover |
ケーススタディのための調査を、調査対象地域への交通費負担が少ないメンバーを中心に実施したこと、全メンバーによる大阪での研究会実施回数が予定より少なくなったことなどにより、次年度使用額が生じた。次年度は、個別に行ってきた成果の統合に向けた研究会を複数実施予定であり、そのための交通費、追加で実施予定のテープおこしなどの人件費として活用する予定である。
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