2019 Fiscal Year Research-status Report
精神障害やアディクションのある養育者とその子どもの支援に関する研究
Project/Area Number |
17K04193
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
森田 展彰 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (10251068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福丸 由佳 白梅学園大学, 子ども学部, 教授(移行) (10334567)
大谷 保和 筑波大学, 医学医療系, 助教 (10399470)
和田 一郎 花園大学, 社会福祉学部, 教授 (10711939)
新井 清美 信州大学, 学術研究院保健学系, 准教授 (50509700)
村瀬 華子 独立行政法人国立病院機構(久里浜医療センター臨床研究部), その他部局等, その他 (40816089)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 精神障害のある親 / アディクションのある親 / 子ども虐待 / 児童福祉 / 養育支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究1「精神障害やアディクションのある養育者とその子どもの実態調査と支援ニーズの把握」について以下の2つの調査を進め、昨年度までの知見を深めた。 (1)全国児童相談長会が行った「平成25年度児童虐待相談ケース分析等に関する調査」の2次分析を行い、親にアディクションのある事例の特徴を調べた。虐待事例7418例のうち、加害者にアルコール依存症のある事例(AL群)は365例(4.9%)で、薬物依存症の事例(DR群)は111例(1.5%)だった。AL群とDR群は、問題がない群より、虐待の重症度が高く、経済的な困難、不安定な就労、ひとり親家庭、DV、育児疲れが有意に多い割合であった。被虐待児の症状では、AL群は非AL群より対人関係の問題、低い自己評価、感情不安定等が有意に高い割合で、DR群は非DR群よりも多動、望まれない出生が有意に高い割合であった。以上から親の依存症は虐待の発生や重症化に影響しており、児童福祉機関と依存症治療機関が連携して介入する手法を確立する必要であると考えられた。 (2)精神障害やアディクションのある養育者に育てられた方に対するWEB調査を行った。十分な回答のあった344例中、回答者自身に精神的問題がある者(189例)は、これがない群(155例)と比べると、親を世話する責任を感じていた者の割合、親から過保護に扱われた認識が有意に高かった。親に精神的問題がある場合、親が未治療で、子どもの自律性を尊重しない傾向があり、子どもに精神的な問題を生じやすいことが示唆された。 研究2-支援プログラムの作成や有効性の検証については、依存症の問題のある養育者や子どもに対して、依存症という病気の理解のためのパンフレットを作成している。内容はある程度できているが、デザインなどについてまだ決定できておらず、医療を用いる当事者やその子どもに意見をきいて、ブラッシュアップしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究1「精神障害やアディクションのある養育者とその子どもの実態調査と支援ニーズの把握」については順調におこなうことができており、精神障害やアディクションのある養育者のもつ子育て困難やそれによる子どもへの影響について明らかにすることができた。子ども側の認識としては、親の病気についてどのように受け止めればいいかわからず混乱させられている者が多かった。必要とされる支援としては、病気の説明をうけることが望まれていることがわかった。但し、事例によって望まれている支援が異なっており、親のことを心配して、子どもが親の世話をおこなう事例では親への支援を子どもは望んでいるが、虐待的な状況の場合には介入がかえって親を不安定にすることへの不安があることがわかった。研究2「支援プログラムの作成や有効性の検証」は研究1の所見に基づいておこなっているが、やや進行が遅れている。遅延の理由は、親子の状況に応じた支援が必要であることがわかり、その点の修正をおこなっているためである。
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Strategy for Future Research Activity |
研究2「支援プログラムの作成や有効性の検証」については、急に本格的なプログラムを行うのは事例によってはかえって親子関係に悪い影響を与える可能性があることがわかったため、方針をかえた。親子関係への介入を行う前に、まず基本的な情報提供を親や子どもにおこなう資料を作成する方針に変えた。そうした情報提供のツールを提示した上で、それに対する親子の感想について聞いた上で、プログラムを作成する方針である。もともと2019年度修了であったのを1年間延長しで、こうした作業をおこなうことを考えている。
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Causes of Carryover |
研究のうちで、研究2-支援プログラムの作成や有効性の検証については、依存症の問題のある養育者や子どもに対して、依存症という病気の理解のためのパンフレットを作成している。内容はある程度できているが、デザインなどについてまだ決定できておらず、医療を用いる当事者やその子どもに意見をきいて、ブラッシュアップしていく予定である。2020年度にパンフレット印刷などのための予算を残してある。
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Research Products
(9 results)