2017 Fiscal Year Research-status Report
A Study on Management of the Community Chest in Korea.
Project/Area Number |
17K04237
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
増子 正 東北学院大学, 教養学部, 教授 (80332980)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 在檍 新潟青陵大学, 福祉心理学部, 准教授 (40460323)
二瓶 さやか 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 講師 (60453346)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 共同募金 / 韓国 / マネジメント |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度の主な研究計画は基礎研究に重点をおき、次の3点について研究を行った。 (1)韓国の共同募金制度の成り立ちと変遷の整理:韓国の共同募金は、1969年「社会福祉事業法」の制定によって導入され、1975年に政府主導の「恵まれない住民の助け合い募金」が始まり、集められた募金は社会福祉事業基金として位置づけられた。1980年「社会福祉事業基金法」の制定とともに、管理・運営が政府主導で行われ、1997年「社会福祉共同募金法」が制定されている (2)韓国に置ける共同募金改革の概要の整理:1999年4月、「社会福祉共同募金会法」の改正により、地方共同募金会は16地域の特別市、広域市、道に支部募金会として位置づけられた。 (3)韓国共同募金の募金規模拡大の取り組み:2017年9月に韓国共同募金会への現地ヒアリング調査を実施して、次の共同募金のマネジメントの体系のモデル化を行った ①第1段階:地域社会の福祉ニーズの把握:市民との公聴会、現地調査によるニーズの把握を行う ②第2段階:地域の福祉課題解決支援団体への支援計画の立案:地域の福祉ニーズを把握した結果から、活動を行う団体への支援計画を立案する③第3段階:募金配分申請に関する広報:主要メディアを通じて、配分内容の広報を行う④第4段階:公平な審査:関連分野の専門家で構成された委員会による審査⑤第5段階:配分事業の支援:配分事業に責任を持たせるための協定の締結⑥第6段階:成果のモニタリングと配分事業のサポート:配分事業を効率的に実行する目的で、専門家による事業の支援⑦第7段階:事業評価:配分事業の成果の評価⑧第8段階:フィードバックと新たなニーズの把握:より事業を拡大させるためのフィードバックと新たなニーズの把握
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)韓国の共同募金制度の成り立ちと変遷の整理については、先行研究のサーベイにより概ね整理できたと考えている。(2)韓国における共同募金改革の概要の整理についても先行研究のサーベイから、概ね整理できたと考えている(3)韓国共同募金の募金規模拡大の取り組みについては、2017年9月に韓国共同募金会を訪問し、ヒアリング調査を実施して、韓国の共同募金の規模を拡大させるためのマネジメントの体系化を試みることができた。 韓国共同募金会の募金に関するマネジメントと配分に関するマネジメントのPDCAサイクルのモデルを、第1段階を地域社会の福祉ニーズの把握、第2段階を地域の福祉課題解決支援団体への支援計画の立案、第3段階を募金配分申請に関する広報、第4段階を公平な審査、第5段階を配分事業の支援、第6段階を成果のモニタリングと配分事業のサポート、第7段階を事業評価、第8段階をフィードバックと新たなニーズの把握という韓国共同募金会のマネジメントのモデル化ができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、韓国における共同募金の募金額が増加し続けている背景に、企業募金を安定的に確保するための韓国型共同募金のマネジメントが要因にあるという仮説を設定して、韓国共同募金会の企業募金のマネジメントの体系を組織論の観点から現地調査する。 (1)企業募金の募金事業に関するマネジメント 共同募金への寄付行為が、企業の社会貢献による継続的な発展と、共同募金のミッションである持続可能な地域社会の実現を融合させるためのマネジメントの体系として、組織体制、運営体制、募金戦略企画、コンサルティング体制、寄付者管理の特徴を整理する。韓国共同募金会には、16の支部があることから、中央会とは別に支部における組織体制についても現地調査を行う。 (2)企業募金の配分事業に関するマネジメント 企業の寄付目的と共同募金のミッションを融合させるためには、企業募金を配分するための「配分に関するマネジメント」がなされていることが示唆されるため、配分戦略、審査、対象事業に対するコンサルティング、評価の体制などを現地調査により整理する。
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Causes of Carryover |
当該年度では、韓国での2回の現地調査を予定していたが、1回の現地調査で当該年度の研究の主たる目的である韓国共同募金会の募金と配分のPDCAサイクルのモデル化を試みることができたことから、旅費の支出に残額が生じた。
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