2018 Fiscal Year Research-status Report
A Study on Management of the Community Chest in Korea.
Project/Area Number |
17K04237
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
増子 正 東北学院大学, 教養学部, 教授 (80332980)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 在檍 新潟青陵大学, 福祉心理学部, 准教授 (40460323)
二瓶 さやか 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 講師 (60453346)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 韓国 / 地域福祉 / 共同募金 / マネジメント |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度では、韓国における共同募金の安定と成長の背景を明らかにする目的で、次の2点に重点を置き研究活動を行なった。(1)中央募金会と、それ以外の16支部の募金額獲得の状況(2)地方都市での共同募金に関するマネジメント状況 具体的には、法人募金の寄付者が多くないと考えられる地方支部における個人募金獲得のためのマネジメントの状況について、2018年8月と2019年1月に現地でのヒアリング調査を実施した。昨年度の調査では、2017年度の韓国における共同募金総額5996億ウォンのうち、中央募金会の募金が39.2%を占めていて、寄付者の類型をみると法人が67.2%で、個人募金が32.8%であルことがわかっているが、大口の寄付を行う法人が少ない地方都市の状況を把握する目的で、2018年8月、2019年1月に江原社会福祉共同募金会を対象にヒアリング調査を実施した。江原社会福祉共同募金会を調査の対象とした理由は、他の同支部と比較すると企業の数が少ないことに加えて、人口一人当たりの募金額が1万ウォンを超えているなどの特徴がみられるためで、個人を対象とする募金のファンドレイジングがどのようにマネジメントされているのかを知るためである。 ヒアリング調査の結果から、江原社会福祉募金会の特徴として、一般募金36.0%(全国平均30.8%)、指定寄託募金41.5%(全国平均33.8%)と、個人を対象とする寄託募金が4割を占めていることがわかった。 観光が江原地区の産業の71%を占め、企業の少ない状況を補うために個人の寄託募金という手段で募金を安定的に確保したり、寄付者へお礼として記念品を渡して感謝の念を伝えるとともに募金の使途の通知を徹底するなどのマネジメントが取られていることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)韓国の共同募金制度の成り立ちと変遷の整理については、先行研究のサーベイにより概ね整理できたと考えている。(2)韓国における共同募金改革の概 要の整理についても先行研究のサーベイから、概ね整理できたと考えている(3)韓国共同募金の募金規模拡大の取り組みについては、2017年9月に韓国共同募金会を訪問し、ヒアリング調査を実施して、韓国の共同募金の規模を拡大させるためのマネジメントの体系化を試みることができた。 韓国共同募金会の募金に関するマネジメントと配分に関するマネジメントのPDCAサイクルのモデルを、第1段階を地域社会の福祉ニーズの把握、第2段階を地 域の福祉課題解決支援団体への支援計画の立案、第3段階を募金配分申請に関する広報、第4段階を公平な審査、第5段階を配分事業の支援、第6段階を成果の モニタリングと配分事業のサポート、第7段階を事業評価、第8段階をフィードバックと新たなニーズの把握という韓国共同募金会のマネジメントのモデル化が できたと考えている。(4)中央募金会と16の地方支部の募金額確保のためのマネジメントについて2018年8月と2月の現地でのヒアリング調査の結果から、地方都市における募金の内訳は個人募金の占める割合が多く、中央募金会と支部では異なることがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)企業募金を確保するためのマネジメントと個人募金を確保するためのマネジメントの体系化 韓国の共同募金の特徴は、募金総額に占める企業募金が大きい点であることが本研究から明らかになったが、(韓国の共同募金の募金額に占める企業募金の割合が53%で、日本は10%)、企業数が少ない地方都市においては、個人募金のウェイトの高い支部も見られる。今後は、韓国共同募金会が企業に対して働きかけているCustomer Relationship Management(企業の社会活動を通して顧客との持続的な関係をつくるシステム)のマネジメントの体系化を試みるのと同時に、個人募金確保のた目のマネジメントの体系化も試みる。 (2)わが国における共同募金のマネジメントモデルの検討 韓国企業のCRMをバックアップする韓国型共同募金のマネジメントの体系を参考にして、日本の共同募金に求められる共同募金のマネジメントの仮設モデルの体系化を試みる。
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Causes of Carryover |
韓国共同募金会地方支部を対象とする現地調査を2箇所実施して、地方支部における個人を対象とする募金額確保のためのマネジメントに関して、調査項目を見直す必要が生じたため、調査の枠組みを再検討して次年度の調査に備えることにして、1回分の旅費に未使用金が生じた。
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