2019 Fiscal Year Research-status Report
共生社会実現への生態学的視点による地域基盤ソーシャルワークの人材養成
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17K04247
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Research Institution | Taisho University |
Principal Investigator |
神山 裕美 大正大学, 社会共生学部, 教授 (80339473)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 生態学的視点 / 地域共生社会 / 包括的支援体制構築 / コミュニティソーシャルワーク / 4×4×4モデル / 地域包括ケアシステム / スーパービジョン |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年12月に厚生労働省から、「地域共生社会推進検討会最終報告書」が出され、その実現に向けた対人支援と地域づくりのアプローチ、及び「市町村における包括的支援体制整備」の重要性が指摘された。「市町村における包括的支援体制整備」では、その基盤として地域福祉計画と人材育成が含まれており、本研究推進の必要を再確認した。 2019年度は、これまでの研究実績と研究仮説に基づき、モデル性のある自治体の2か所の継続調査と、これまで実施した2か所の自治体に加え、新たに1か所の自治体の現地調査を行った。これらのモデル自治体では、個人や家族、及び地域へのミクロ・メゾレベルの実践のため、人材育成研修を継続的に実施していた。そして、法の狭間や多分野の課題をもつ家族支援と、地域づくりから社会資源開発まで連続的に実施され、人材育成研修の成果が実践に生かされていた。また、地域福祉計画等による地方自治体のメゾからマクロレベルまでの組織的取り組みと、首長や関係機関長の的確なリーダーシップは共通事項であった。さらに人材育成研修では、プログラム作成・実施・評価を継続的に行い、指導方法は、生態学的視点と4×4×4モデル(Morrison2015)の枠組みより実施・評価した。 しかしながら、国外の地域支援や組織支援のプログラムや指導方法は、現地研究者と相談し計画したにもかかわらず、コロナ禍において実施することができなかった。また、国内のモデル地域の継続調査も中断しており、今後の研究計画に修正が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和元年度は生態学的視点と地域基盤ソーシャルワークの関連を、理論仮説に基づき、その検証と修正の循環を進めた。本研究仮説の実証は、その集約過程と学会報告等より多くの示唆を得ることができた。 地域福祉実践と地域福祉計画の関連は、2か所の継続調査に加え、1か所の自治体と、1か所の法定事業による個別と地域支援、及び社会資源開発の連続性について事例研究を行った。また、コミュニティソーシャルワークの人材養成プログラムは、1か所のプログラム改善を継続的に行い、3か所の地域の研修会で、参加者事例のスーパービジョンを行い、研究仮説と4×4×4モデル(Morrison2015)を検証した。さらに、本研究成果より、地域基盤教育や多職種連携、及び地域包括ケア等の人材養成にも小論を提起することができた。 国外のコミュニティオーガニゼーションやコミュニティワークの教育プログラムや指導方法の現地調査は、アメリカの2州の社会福祉研究者から情報提供と助言を受け、調査計画を検討・調整した。しかしながら、コロナ禍により2月~3月に計画した調査は、実施することができなかった。そのため、国外の地域支援や介入のための方法論を、生態学的視点より再整理し、日本の市町村地域福祉システムと実践へ適用する考察と検討が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年年度は、生態学的視点と地域基盤ソーシャルワーク関連の理論仮説と、複数市町村の地域福祉分野の調査結果の比較検討より、その現状と課題を集約したい。そして、他市町村への普遍化もふまえ考察したい。また、コミュニティソーシャルワークの知見をふまえたスーパービジョンについても、これまでのPDCA過程より集約したい。そして、多分野に貢献できる地域共生社会に向けた人材養成プログラムと支援方法の提案につなげたい。 しかしながら、国内外調査と国外学会報告がコロナ禍で制限されており、当初計画に比較して、上記の検討材料が十分でない。さらに研究成果の一部は、国際会議発表に採択されたが、開催が延期され比較研究の場も不足している。そのため研究計画を修正し、ネット環境による情報収集と議論の場を整える。さらに、国内外の現地調査と学会報告等による、比較研究を深めるため適切な研究期間についても検討したい。
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Causes of Carryover |
2019年度当初から、国外調査先と相談・調整のうえ、先方の日程と都合に合わせて2020年3月に調査実施計画をたてた。しかしながら、コロナウイルス発生のため、渡航できず調査先も受け入れ不可のため、実施することができなかった。また、2020年度6月開催の国際会議の発表にも採択されたが延期となり、発表準備の指導謝金支出ができなかった。そのため2020年度に国外調査に伴う旅費・謝金・アルバイト人件費の支出、及び国際学会発表による指導謝金を支出予定である。また、国外調査の情報収集や連絡調整のため、情報機器も補強し整備する予定である。
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Research Products
(6 results)