2018 Fiscal Year Research-status Report
ケアを基盤とする共生社会構築のためのケア概念確立と社会福祉教育への反映
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17K04250
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
妻鹿 ふみ子 東海大学, 健康学部, 教授 (60351946)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣田 智子 山口県立大学, 社会福祉学部, 講師 (10707219)
伊丹 謙太郎 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 特任助教 (30513098)
大井 智香子 皇學館大学, 現代日本社会学部, 准教授 (60352829)
竹端 寛 兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (90410381)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ケア倫理 / 共生社会 / Caring with / 倫理的ジレンマ / 生産性至上主義 / 応答し合う関係 / 共助 / 村落共同体 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は予定通り4回の研究会を行い、議論を深めることができた。通算7回の研究会での議論をもとに各メンバーが論考を深め、「共生社会構築のためのケア概念確立」に向けての中間報告としての共同執筆の2本の論文「共生社会構築のための基盤としてのcaring with (1)連帯を創出する力」「同(2)ケアの責任を問う~Caring with の関係性からの考察」にとりまとめた。 第4回研究会では、J.トロントの著作「Caring Democracy」について、各自が担当した章についての報告を行った後、トロントのケア論の核となる「気遣い」という意味を含むCaring with の概念について明らかにし、共生社会構築のためには気遣いとしてのケアの議論が不可欠なことをが確認された。 第5回研究会では、これまでの研究会で議論してきたケア倫理をめぐる言説研究(川本、岡野、ヘルド、トロント)と、各自の関心領域をクロスオーバーさせた議論を行い、ケア倫理という抽象的な議論を、ケアの現場の倫理的なジレンマの乗り越えにどのように使っていくことができるのかを検討し、来年度、倫理的ジレンマを語ってくれるゲストを招聘して拡大研究会を行うことが確認された。 第6回研究会ではこれまでのケア倫理をめぐる議論を踏まえた中間報告としてのCaring with をめぐる2本の論文についての構想を出し合い、中身について議論するとともに投稿スケジュールを確認した。 第7回研究会では、次年度の拡大研究会の議論を行った。Caring with の関係の創出において、現場で感じる倫理的ジレンマについて現場の実践者や当事者をゲストスピーカーとして招聘し、現場感覚と本研究会のケア倫理についての理論的考察との架橋の可能性を探ることとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の欄で詳述した通り2年目は、当初の予定通り4回の研究会を開催し、ケア倫理のついての議論を深めることができた。加えて、中間報告としてこれまでの議論を踏まえて共著の論文2本にとりまとめることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究最終年度になる来年度は、理論と実践を架橋するための拡大研究会を開催し、本研究会で議論してきたケア倫理の理論(思想)とケアする現場で創出されている倫理的ジレンマとをつなぐためにはどのような教育が必要かを明らかにする。 福祉教育への生かし方については、現場経験のない学生に行う専門職教育というよりは、むしろ、現場でケアに向き合っている実践者や当事者、当事者家族へのアプローチを重視し、現場でケアに向き合う人々の困りごとやジレンマ状況を言語化し、それを理論がどのように引き取ることができるのかを検討したい。
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Causes of Carryover |
研究会開催時期が当初の予定より遅くなったことにより、当初予定していた研究会会議録のテープ起こしの発注処理が年度内にできなかったため、使用額が当初の見込みより少なくなった。2019年度に次年度使用額分を使用して発注することにしている。助成金全体の使用計画については、識者を招聘して開催する予定の拡大研究会のための謝金、旅費、学会での研究成果報告の旅費に支出する予定にしている。
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