2017 Fiscal Year Research-status Report
小中学生の対人葛藤解決力発達支援モデルの開発‐友人関係における志向性に着目して‐
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17K04412
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
鈴木 伸子 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (70387497)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 靖彦 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (10314064)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 対人葛藤解決力 / 友人関係における志向性 / 小中学生 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず,小学生の対人葛藤解決方略に関する成果として2論文を公表した。うち高学年児童計1,867名を対象に実施した質問紙調査では,授業中の意見層場面に焦点をあて,児童の学級内の対人葛藤解決方略と承認・被侵害感との関連を検討した。主な結果として,①承認感が高く被侵害感が低い児童(満足群)は,承認感が低く被侵害感が高い児童(不満足群)より互恵的・協調的な方略を用いやすく,非言語的攻撃・抑制などの一方向的な方略を用いにくいこと,②所属学級の状態(学級内の満足群児童の占める割合)によって,承認感が高く被侵害感が低い児童であっても個人が用いる方略が異なることなどが示された。これらのことより,学級観察の際に,対人葛藤解決方略には個人の承認・被侵害感のみでなく,学級全体の状態も考慮する必要性が示唆された。また本成果より,学級における仲間関係の認知が児童の対人葛藤解決方略に重要な意味を持つことが示唆された。 次に,これまで報告のなかった日本における外国人児童の対人葛藤解決方略について, 日本語能力に着目した対人葛藤解決方略の検討を行った。外国人児童の在籍率の高い小学校5校の高学年児童計1,096名(日本人809名,外国人287名)を対象に質問紙調査を行ったところ,外国人児童は日本語能力の高低にかかわらず,日本人児童よりも多様な方略を用いやすいことが示唆された。こうした傾向は外国人児童の葛藤解決に向けた積極的な振る舞いとして評価できる一方で,安定した対処方略の未獲得とみることも可能と思われた。 さらに,重要な友人間葛藤場面の作成を目的に,教員養成課程に所属する大学生(約120名)を対象に小学校高学年から中学生に時期を回想し,当時,気になり今も印象に残っている場面を挙げるよう求めた。その結果,「からかい場面」と認知する判断する基準は様々であり,その個人差の大きさが再確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
友人間葛藤場面の作成について,大学生を対象にした調査は実施したが,結果を踏まえた小学校高学年及び中学生を対象とした調査は実施できておらず,場面作成には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
友人間葛藤場面の作成について,小学校高学年及び中学生を対象にした調査を実施し,場面作成を行う。また,対人葛藤解決方略と友人関係における志向性,友人関係満足,葛藤解決に関する調査を実施する。加えて,平成29年度に実施した調査結果について,国内学会で成果公表を行う。
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Causes of Carryover |
理由:友人間葛藤場面の作成について,年度内に大学生の調査結果を踏まえた小学校高学年及び中学生を対象とした調査が実施できなかったためである。 使用計画:上記の変更を踏まえ,2018年度の主な研究費使用計画を示す。 友人間葛藤場面の作成について,小学校高学年及び中学生を対象にした調査を実施し,場面作成を行う。また,対人葛藤解決方略と友人関係における志向性,友人関係満足,葛藤解決に関する調査を実施する。加えて,平成29年度に実施した調査結果について,国内学会で成果公表を行う。
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