2018 Fiscal Year Research-status Report
小中学生の対人葛藤解決力発達支援モデルの開発‐友人関係における志向性に着目して‐
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17K04412
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
鈴木 伸子 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (70387497)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 靖彦 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (10314064)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 対人葛藤解決力 / 友人関係における志向性 / 小中学生 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず,日本における外国人児童のウェルビーイングに関する国内共同研究において,外国人児童の対人葛藤解決方略について日本語能力に着目した検討を行い,論文化した(「学校メンタルヘルス」印刷中)。学校生活において児童が日常的に経験する児童間の対人葛藤場面を取り上げ,日本人児童(809名)と外国人児童(278名,学習面における個別支援の要・不要の観点から,日本語能力低群.日本語能力高群に分類)の解決方略を比較した。主な結果として,外国人児童は日本語能力の高低にかかわらず,日本人児童よりも総じて多様な方略を用いやすいことが示唆された。こうした外国人児童の傾向は,葛藤解決に向けた積極的な振る舞いとして評価できる一方で,彼らが安定した対処様式や得意とする解決方略を持ち合わせていないことの表れとみることも可能であると考えられた。加えて,言語能力に対する自信の不足が推測される外国人児童は,「説得」による葛藤解決に難しさを感じていることも示唆された。 次に,教育支援センター通級児童生徒(支援群,34名)の他者の意図が曖昧な場面における意図解釈,内言,反応行動の特徴について,登校している児童生徒(登校群,167名)との比較を通して検討し,2018年7月の日本学校心理学会で成果報告した。主な結果として,意図解釈と適応感及び自尊感情には有意な関連が認められた。場の充実感は支援群が登校群より高く,自尊感情は登校群が支援群より高かった。また,登校群,支援群ともに意図解釈の特徴によって生活の場の適応感や自尊感情に違いが示された。さらに,登校群との比較を通して,支援群には,他者の意図が曖昧な場面において,合理的な解決が図られにくいこと,「その後」に他者を頼る行動が生活の場の適応感とも関連する重要な対処行動の一つであることが示唆された。ただし,支援群は少数であるため,今後データを蓄積し,より詳細な検討を要する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2017年度に実施した大学生の「からかい場面」に関する調査結果及び先行研究を参考に,小学校高学年児童を対象とした調査セットは準備したが,調査実施はこれからである。
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Strategy for Future Research Activity |
小学校高学年児童を対象とした対人葛藤解決方略と友人関係における志向性,友人関係満足に関する調査を実施する。
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Causes of Carryover |
(理由)年度内に小学校高学年児童を対象とした調査が実施できなかったためである。 (使用計画)小学校高学年児童を対象にした調査を実施し,データ解析を行う。加えて,国内において過年度の成果公表を進める。
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