2020 Fiscal Year Research-status Report
小中学生の対人葛藤解決力発達支援モデルの開発‐友人関係における志向性に着目して‐
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17K04412
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
鈴木 伸子 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (70387497)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 靖彦 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (10314064)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 対人葛藤解決力 / 友人関係における志向性 / 小中学生 |
Outline of Annual Research Achievements |
高学年児童(約350名)を対象に,学級内のからかい場面における対処行動に関する質問紙調査を実施した。また,高学年児童(85名)を対象に実施した対人葛藤解決方略に関するインタビュー調査の結果を論文化した。主な結果として,1)葛藤解決の前提となる「場面の問題の定義」について,大半の児童は問題を適切に定義できていたものの,一部の児童には状況への介入の必要性が示唆された。支援においては,解決方略のレパートリーの範囲,方略使用後の結果の予測ができているかなど,当該児童の状態および個性に応じたアプローチが求められると考えられた,2)「一番よく使用すると思う方略」の結果は,これまでの筆者らの質問紙調査による研究結果を支持した。すなわち,質問紙調査による先行研究(鈴木ら,2014等)とインタビューによる本研究の両結果から,高学年児童の多くが向社会的な手続きで相手との関係性の維持につながるような解決方略を積極的に選択しようとしていることがうかがえた。また,その理由から,「自分の考えを伝える」児童の中に,意思表明を目的とする児童と説得までも目的とする児童がいること,「あきらめる(相手に合わせる)」児童の中に,葛藤回避ばかりではなく,愛他的な理由から同方略を用いようとする児童が男女共に一定程度いることが確認された,3)「最良と考える方略」の結果の背景には,学級における子ども同士の関係性だけではなく,相互協調性を重視する教育の影響が大きいと考えられた。また,全体の2割の児童の「一番よく使用すると思う方略」と「最良と考える方略」には齟齬が認められた。その理由から,学校生活において日常的で反復的に経験する可能性が高い場面であっても,自分を出すか引っ込めるか葛藤する児童の姿がうかがえた。今後は,児童の自己変化的な方略が持つ意味について検討を深めることが課題であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初計画より調査時期が大幅に遅れた。また、2020年度は感染症拡大の影響により過年度の成果公表が進められなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度に実施した高学年児童(350名程度)の学級内のからかい場面における対処行動に関する質問紙調査の結果を公表する。過年度の成果公表を進める。
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Causes of Carryover |
(理由)高学年児童を対象とした調査の実施が遅延したため。また、過年度の成果公表を2021年度に予定しているため。 (使用計画)実施した学級内のからかい場面における対処行動に関する質問紙調査のデータ解析を進め成果公表を行う。加えて,国内において過年度の成果公表を進める。
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Research Products
(1 results)