2017 Fiscal Year Research-status Report
森有礼文部大臣時代の教育政策に関する総合的研究―「森文政」期像の再構築―
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17K04544
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| Research Institution | Kyoto University |
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Principal Investigator |
田中 智子 京都大学, 教育学研究科, 准教授 (00379041)
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2017-04-01 – 2020-03-31
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| Keywords | 森有礼 / 高等中学校 / 日本人留学生 / 同志社 / 地方紙 / お雇い外国人 / 宣教師 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
「森文政」期像を再構築するために、あらたな資料発掘に基づく研究の必要を唱え、その方策の一つに、地方紙活用による森有礼の巡視実態の解明を掲げたが、①富山県下における彼の足跡を、『中越新聞』や『学事報告』の活用によって明らかにした。また、②従来から取り組んできた高等中学校研究をさらに発展させ、金沢に設置された第四高等中学校の設立過程とその意義について、県会議事録・県公報などを活用し、金沢藩政時代の中学設立構想以来の歴史をあとづけるかたちで考察を深めた。
方策の第二に挙げたキリスト教に関わる史料への着目については、京阪神の諸地方紙ならびにキリスト教関係新聞、および同志社の学校要覧にあたる『同志社報告』などを活用し、以前より継続していた同志社の大学設立運動に関わる研究を完結させ、その特質を提示した（③）。また、並行して進められ実現した京都看病婦学校設立運動の主たる牽引者、お雇い外国人宣教師ベリーについて、その医療観の一端を明らかにする研究成果を公にした（④）。
以上の成果は、それぞれ論考にまとめている。平成２９年度中に③④が公刊され、①②は平成３０年６月の刊行となる。
史料調査について。具体的な目標に掲げた日本人女子留学生・加藤錦の足跡に関する予備調査を行った。ゆかりあるお雇い外国人・エドワード＝モースについて報道した記事も存在することがわかり、これを収集した。なお、国内における史料調査の副産物として、日本における史資料の電子化の現状を「利用者」の立場から概観し、中華人民共和国における歴史学界の媒体上に紹介する機会を得た（「日本国内近代史研究相関基礎史料的数据倉建設現状」）。
そのほか関連する研究活動として、地方官の役割や地域社会の捉えかたに注目しつつ、『就学告諭と近代教育の形成 勧奨の論理と学校創設』に対する書評を行ったことも挙げられる（『日本の教育史学』第60号）。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
地方紙の収集については、富山県・石川県という具体的な地域にそくした形式で進めたため、計画に掲げた全国府県の地方紙を対象とする網羅的な検索・収集には至らなかったが、国立国会図書館では閲覧することができない断片的地方紙を、現地の史料所蔵機関にて検索・収集することができた。また、その史料収集成果をもとにし、論考をまとめることができた。
また、キリスト教界を通してみた森文政期という視角から、同志社の大学設立運動を継続して取り上げ、一連の考察にまとまりをつけることができた。関連するお雇い外国人宣教師の活動についても、別途検討を進められた。
海外での史料調査については、予備調査を実施することができた。
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| Strategy for Future Research Activity |
平成２９年度は、特定の地域の学校設立史研究のための地方紙検索という方法に依拠することとなったが、今年度は、森の巡視記録記事の悉皆的収集そのものを目的とし、国立国会図書館での地方紙検索を早期に完了させることをこころがける。
また、研究実績概要や進捗状況欄に記した海外での史料調査については、所属機関の学内経費を得たため、そちらに基づいて予備調査を実施した。そのため、平成３０年度に、今度は当初の計画のとおり本科研費を用い、予備調査をふまえた本調査を行うことが可能となった。この本調査を実現することが、研究推進のための方策の第二である。
これまで主に同志社にそくして行ってきた私立学校の史料調査については、計画書に記した各校へと積極的に対象を拡げる。
なお、平成３０年度からの基盤研究Ｂ研究として、「近代日独の社会学説と高等教育をめぐる知的交流の実相に関する歴史社会学的研究」（代表者：野﨑敏郎佛教大学教授）が採択された。研究分担者として本研究に携わることは、森文政期に対する理解を深めることに大きく資すると期待されるため、こちらにも積極的に取り組む。
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| Causes of Carryover |
計画していたボストンでの日本人留学生関係新聞検索について、所属機関の学内経費を用いて予備調査を行うことが可能となったため、まずはそれを平成２９年度内に実施し、本科研費による調査は、予備調査をふまえて平成３０年度に行うことを企図したため。
平成３０年度において、予定していた本科研費による本調査を行う。
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Research Products
(3 results)
