2019 Fiscal Year Annual Research Report
The Comprehensive Research on Education Policy under Minister Mori Arinori
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17K04544
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 智子 京都大学, 教育学研究科, 准教授 (00379041)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 森有礼 / 中学校 / 同志社 / ミッション |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間当初より継続している中学校形成史研究会において、富山県・石川県に引き続き、高知県の中学校形成史にかかわる報告をおこない、論文を執筆する段階にいたっている。中学区という制度に基本的に沿いながら、県下5つの地域が、士族層によって、あるいは富裕な農民・商工業者中心に、中学校の開設を計画していくそれぞれの背景と動きの特質を、私学の動向も考え合わせながら解明しようとしている。 長く研究会の一員として、かつ事務局としてかかわってきた、新島襄宛英文来簡500通ほどの解読作業の成果として、同志社大学人文科学研究所編『新島襄英文来簡集』(木立の文庫、2000年)が上梓された。作業をまとめる過程において、これら英文書簡のなかに森有礼自身や、その文政下にアメリカへと派遣された女子留学生、あるいは同志社・帝国大学に修学する者、留学生・お雇い外国人などにかかわる重要な情報が含まれていることなどを発見した。 上海大学にて開催された国際学術会議において、日本におけるカナダ・メソジスト教会の教育事業について報告した。例えば同志社のように、官立に対抗的な私立の創設・維持を志向するのではなく、東京を拠点とする地域性もあって、確立されていく公教育制度に入り込んでいくという方向を模索していたことに、キリスト教勢力としての特質を見出した。特に、森文政期に制度化される中学校制度(高等中学校・尋常中学校)との関係を検討し、宣教師がお雇い外国人教師として地方の各学校に雇用されていくことを目指す組織的な活動のありようを検討した。 以上のほか、森有礼に関する各地方紙の収集を継続して進め、その出身地である鹿児島における調査もおこなった。
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Research Products
(2 results)