2017 Fiscal Year Research-status Report
International comparative study related to the evaluation method for college admissions
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17K04555
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
永田 純一 広島大学, 入学センター, 准教授 (70330959)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉原 敏彦 広島大学, 入学センター, 教授 (00379851)
高地 秀明 広島大学, 入学センター, 教授 (70403508) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 高大接続 / カリキュラム / 主体性 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度においては,以下の研究実績が挙げられる。 (1)ハワイ州(米国)における高等学校カリキュラムの特徴に関する調査:ハワイ州の公立学校において,特に分野別カリキュラム(Academy制)について調査を行った。我が国の普通科高校とは異なり,6程度の分野に分かれたカリキュラムによって大学進学を目指す制度である。 (2)ハワイ州(米国)における大学入学者選抜における評価基準に関する調査:ハワイ州の州立大学における入学者選抜における評価基準と選抜方法に関して,現地調査を行った。特に,高等学校と連携したプログラムに対する評価についても近年の動向を把握することができた。米国の大学制度におけるコミュニティカレッジが,大学入門講座を高等学校において実施しているが,これは,そもそもコミュニティカレッジ自身が学士号取得コースへの転入学を目指す学生の育成機関であることから,大学入門教育に特化した教育を行い易い側面があることがわかった。 (3)高校と大学の双方が協働で実施している大学進学推進プログラムの調査:(2)で述べたように,コミュニティカレッジの教員が高校生を含めた授業を実施したり,あるいは,高等学校において大学(コミュニティカレッジ)の教員が授業を行う等,多様な実施形態がある。 (4)大学入学者選抜における主体性に関する評価について:上述の調査の他,英国等他の高大接続における「主体性」に関する評価について,文献調査及びインタビュー等を実施した。米国での調査では,特に「選択の自由」を重要視する姿勢が見受けられた。例えば,高等学校教員への調査において,生徒は選択する機会が何度もあり,その都度,自主的に選ぶことが求められる,といった答えが度々聞かれた。「主体性」の定義については,今後多角的に定義し直し,その上で調査研究を推進することが重要であると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今回,米国における一つの州において,高校と大学の双方を調査することができたことは,計画のとおり進捗している。また,高校と大学のカリキュラムに関する検討についても,書籍あるいは最新の文献をもとに,理論的検討を行うことができている。 一方,当初の予定であった韓国の高大接続制度に関する理論的検討について,他国との違いを中心とした把握が依然不十分である。これは高等学校のカリキュラムの特徴,入学者選抜における分野選択度の自由度,さらには,大学入学後のカリキュラム研究などが含まれる。これらについては,平成30年度内に実施可能な内容であり,年度計画の一部に組み入れる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
米国の高大接続については,特定の州の状況について,大学と高校の双方の現地調査を行うことができた。特に,高等学校のカリキュラムについてその特徴の把握ができたことは有益なものであると考えられる。また,高校と大学で連携したプログラムの実施内容について,最新の状況が把握できたことは,今後の他州,あるいは他国との比較において,役立つものである。本研究課題は,「主体性」をキーワードとしているが,実際の現地調査では,その定義についてまずは議論することが求められた。 今後の研究推進においては,以上の経験を踏まえ,各国の教育制度とその文化的背景を十分に検討し,「主体性」の定義について明確にすることが求められると考えられる。その一方,事前に想定していない定義が得られる可能性もあり,その意味では,想定外の調査結果となることも十分予想される。このように,事前に予想される結果と,そうではなく,想定外に得られた結果について,どのように統一した把握が可能なのか,を理論的に検討することが,今後の研究推進では重要である,と考えられる。 このようなことから,各国の高大接続に関する制度のみならず,文化的・社会的状況の把握にも大きな注意を払いながら研究を推進する計画である。
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Causes of Carryover |
実際の調査地について,計画よりも縮小した範囲の調査となった。平成30年度においては,当初予定していたが未調査であった地域の機関を含めて調査する予定である。
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Research Products
(2 results)