2018 Fiscal Year Research-status Report
1970年代におけるメディアによる教育言説の質的転換に関する研究
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17K04596
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Research Institution | Shohoku College |
Principal Investigator |
佐藤 知条 湘北短期大学, その他部局等, 准教授 (70586718)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小国 喜弘 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (60317617)
岩田 一正 成城大学, 文芸学部, 教授 (70338573)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 教育言説 / 1970年代 / マスメディア / 教育史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、1970年代におけるメディアによる教育言説の展開について検討し、教育学,教育史の研究領域において「1970年代」を捉える新たな枠組みを提示することである。そこにおいて、今年度の主たる研究実績はつぎの2点となる。 1. 1970年代においてメディアが取り上げた教育の話題について、複数の新聞および雑誌の記事、テレビ番組のそれぞれについてリストアップとデータベース化の進展 新聞については、朝日新聞と毎日新聞の2紙について、総合雑誌では『世界』と『中央公論』について、テレビ番組についてはNHKで放送された番組について、それぞれリストアップ作業が完了した。 2.作成したデータベースをもとに1970年代のメディアによる教育言説の展開の具体について考察し、日本教育学会第77回大会のラウンドテーブルにおいて発表した。 「1970年代においてメディアはどのような教育の事象に注目し,いかに表象したのか。そしてそれは当該の教育事象に対する人々のイメージや態度の形成にどのような影響を与えたのだろうか。『通信簿』と『入試制度』に関する言説の展開を検討した報告をもとに,メディア報道と教育との関連について参加者とともに考える」という趣旨のもと、新聞、テレビ、総合雑誌、教育雑誌における教育事象の取り上げ方について報告し、議論を行った。ラウンドテーブルを通して、1970年代において新聞やテレビ、雑誌等のマスメディアの教育言説が「転換」している可能性を指摘し、教育学・教育史研究における同年代の位置づけの理解に対する新しい視点を提示して1970年代に注目することの意義を示した。この点は本研究独自の成果と言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
昨年度から継続して実施してきた、1970年代において新聞やテレビ、雑誌等のマスメディアが取り上げた教育の話題(記事)のリストアップ作業は順調に進捗し、いくつかの媒体については完成させることができた。 さらに、リストをもとに研究者が具体的な事象の分析を進め、それぞれで考察を行うとともに、それらを集成して日本教育学会第77回大会のラウンドテーブルで報告することができた。また、ラウンドテーブルの参加者との議論を通して1970年代において新聞やテレビ、雑誌等のマスメディアの教育言説が「転換」している可能性が確認され、教育学・教育史研究における同年代の位置づけの理解に対する新しい視点を提示した。この点は3年間を通して本研究が目標としていたことである。そのため、当初の計画以上に進展したと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
以下の3点から今年度の研究を進める。 1.前年度までの研究成果の公表(論文化):ラウンドテーブルでの報告内容をふまえて各研究担当者が論文としてまとめ、学会誌への投稿を行い、成果を公表する。 2.記事リストアップ作業のさらなる進展、精緻化:新聞については、読売新聞の記事のリストアップ、毎日新聞の記事一覧の精緻化を図る。雑誌については、『ひと』、『高校生活指導』などの記事のリストアップを行う。また、ドキュメンタリー映画についても、『映画年鑑』を中心にリストアップ作業を進める。 なお、1.2.については、年度末に報告書としてもまとめ、大学図書館等に寄贈して研究成果の公表と普及を図る予定である。 3.1970年代のメディアによる教育言説の展開について多面的な検討を進める:記事のリストアップ作業の精緻化とあわせて、各研究者がさらなる具体的なテーマを定め、探究する。
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Causes of Carryover |
(次年度使用額が生じた理由) 当初予定していた、映像資料等のデジタル化に伴う費用が少なく済んだことと、データベース作成にかかる費用として見込んでいたテープ起こし代金などが少なく済んだため (使用計画) 研究はおおむね順調に遂行できているため、未使用分については当該研究の成果報告のための報告書作成に向けた経費に充当する計画である。
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Research Products
(1 results)