2019 Fiscal Year Research-status Report
コミュニティ・スクールにおける地域コーディネーター養成と持続可能な研修の開発
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17K04615
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
青木 一 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (90754341)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伏木 久始 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (00362088)
安達 仁美 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (30506712)
多田 孝志 金沢学院大学, 文学部, 教授 (50341920)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 地域コーディネーター / コミュニティ・スクール / スクール・コミュニティ / ファシリテーション / 一体的好循環 / ワークショップ / 6つのTION / 持続可能 |
Outline of Annual Research Achievements |
「子どもの育ち」と「コミュニティの豊かさ」の一体的好循環を生み出す「スクール・コミュニティ」の創造は、「チーム学校」とそれをつつみこむ地域社会の人材を繋ぐ地域コーディネーター の存在がきわめて重要となる。地域側と学校側の絆を繋ぎ、共に学び、共に考える総合窓口として、また、連携・協働そして補完し合うネットワークの要として、中心的な存在だからである。そこで本研究は、コミュニティ・スクールを支える地域コーディネーターに求められる役割・力量を明らかにし、その結果を踏まえて、地域コーディネーターの養成プログラムと持続可能な研修プログラムを、個人の力量、地域の実情に応じて開発することを目的とした。4年計画で実施する。 本研究の3年目は、昨年度の研究成果を基に、「6つのTION]の具体的な在り方・進め方を全国各地のコミュニティ・スクール推進校(地域)に調査活動を行った。主な調査対象校(地域)は、高知県立大方高等学校、岡山県小田郡矢掛町、沖縄県立八重山農林高等学校、「小さな村g7サミット」と呼ばれる全国の7つの村、ブレッケ(スウェーデン)、レッジョ・エミリア(イタリア)である。この調査から、地域コーディネーターに必要な資質・力量として、「ファシリテーション」「コミュニケーション」「インフォメーション」「ロケーション」「アクション」「リフレクション」の6つが有効であるという共通性を見出せた。とりわけ「ファシリテーション」の重要性が顕著であるという結果が出た。そこで地域コーディネーター養成プログラムと研修プログラムの開発に着手し、近隣の教育委員会と連携のもと、「ファシリテーション研修」を企画・運営した。具体的には「コミュニティ・スクールを持続可能にする地域コーディネーター研修―DVDワークショップ編―」と題し、動画による研修の補完教材の作成を開始した。2020年度春に完成予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
地域コーディネーターに必要な資質・力量の分析の結果、「ファシリテーション」「コミュニケーション」「インフォメーション」「ロケーション」「アクション」「リフレクション」の6視点が抽出できた。とりわけ「ファシリテーション」が重要であることが調査からわかった。そこでファシリテーション研究を、先進地域であるスウェーデンとイタリアにおいて調査活動を行った。その結果、子どもを未熟なものとしてみなすのではなく、まちの一市民として、また、未来を創造する出発点にあたるのが子どもであると大人が自覚し、個性が生きるまちづくりを推進していくという「子ども観」に触れることができた。これらを基に、2019年度末から、地域コーディネーターのファシリテーション能力を養成するための研修プログラムを作成し始めている。長野県教育委員会北信教育事務所と長野県大町市美麻小中学校の地域コーディネーター前川氏の協力を得て、実際の「地域コーディネーター研修会」を開き、その運営方法や動向を動画で保存した。現在、編集作業を進めながらDVD化を図り、地域コーディネーター育成プログラム補完教材として製作中である。
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Strategy for Future Research Activity |
レッジョ・エミリア(イタリア)やブレッケ(スウェーデン)が推進しているスクール・コミュニティへの変換である。現状のコミュニティ・スクールは、地域の人々が時々来校し、授業の中で自分の得意な技能や経験を子どもたちに伝授するといった一方向的に学校に貢献する活動が多く、学校が受ける恩恵に対して、地域のコミュニティ形成に深く関与するようなメリットまで至っていない。地域と学校、それぞれがメリットを享受できるWINWINの関係に至らないと持続可能な活動とはならない。今後は「地域が学校を支援する」から、学校教育と社会教育が一体となったまちづくりとして「地域と学校が協働する」といった視点が重要になってくる。すなわち、学校運営を地域力に頼りながらどのように質を上げていくかという学校本位の見方から、「学校」を核とし、「学校」という場や関係を介在させることによって、地域の人々の共同体的感情の結びつきや関わりを深化させ、まちづくりを進める「スクール・コミュニティ」の形成が持続可能な社会づくりへの有効な手立てと考える。そこで、レッジョ・エミリアやブレッケのメソッドやフィロソフィーを基に、日本各地で推進しているスクール・コミュニティ的な活動を引き続き調査するとともに、今後、コミュニティ・スクールからスクール・コミュニティへ促進させるための有効な補完教材としてのDVDを完成させる。
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Causes of Carryover |
2019年度末に完成予定であった地域コーディネーターの研修を補完する教材、DVD「コミュニティ・スクールを持続可能にする地域コーディネーター研修―DVDワークショップ編―」について、録画を予定していた研修会の延期と、その編集作業のやり直しの結果、2020年度にずれ込み、支払いも年度を繰り越すことになった。2020年度は、このDVDを完成させるとともに、研究成果全般をまとめた報告書作成および関係各所に配付する計画である。
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Research Products
(3 results)