2017 Fiscal Year Research-status Report
The Formation and Development of "Anti-communist Ideology" Education in Postwar South Korea: Focusing on Textbook and Field Study
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17K04725
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Research Institution | Oita Prefectual College of Arts and Culture |
Principal Investigator |
朴 貞蘭 大分県立芸術文化短期大学, その他部局等, 准教授 (80567008)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 韓国 / 2015改訂教育課程 / 統合教科書 / 分断イデオロギー / 統一教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度には、韓国の『2015改訂教育課程』に基づき開発された初等学校1~2年生用の新しい統合教科書と『安全な生活』を検討した。 統合教科書の特徴は、以下の3点にまとめられる。1.新しい統合教科書は、主題別の教科書として開発された。2.統合学習用の学習資料(教材)として、様々な体験活動ができる教材である。3.学生と教師が「作っていく」教科書である。とりわけ、「作っていく」教科書という特徴は、統合教科書のもっとも重要なポイントでもある。既存の教育課程では、到達基準に適切な内容及び活動を指定していたが、改訂教育課程では、到達基準だけを提示することにした。これにより、教師は学習主体と到達基準を考慮し、クラスや学生に合った内容や活動、方法などを設定できるようにした。 統合教科書『冬1-2』の中でも、「上位主題」である「国」や「下位主題」の「わが国」、(朝鮮半島における南北の)「統一」に関する項目を取り上げたが、ここでは、全体を通して「体験活動」学習をさせていることがわかった。また、『2009改訂教育課』の教科書に比べ『2015改訂教育改訂』の統合教科書の方が、単純なナショナリズム教育ではなく、「統一教育」まで視野に入れた教育を展開している点は、まさに新しい統合教科書の特徴であると言える。 なお、『2015改訂教育課程』において、教科(群)とは別に設定されている「創意的な体験活動」を支えると期待されているものが、学校教育の外側にある「体験活動」関連施設で行われている教育プログラムや副教材による学習であることは看過できない。これらの教育プログラムや副教材は、学校教育以上に生活に根付いた感じで、学生の他、家族(保護者)向けのプログラムなども充実しており、多様なグループにも対応できる戦略的な構成となっていることを注目すべきである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、平成29年度~32年度の4年計画の研究テーマであるが、初年度である平成29年度には、『2015改訂教育課程』や初等学校の統合教科書が収集でき、その成果を学会(全国大会)で発表し、大学の紀要においても論文としても公開できたため、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度には、この年に新たに発行された初等学校3年生・4年生用の教科書(国語・道徳・社会)を収集し、分析を行う。とりわけ、「分断イデオロギー」や「統一教育」という側面から分析を行う。 なお、新しく改訂される前の教科書の収集にも力をいれ、韓国の戦後において、「分断イデオロギー」というものが教科書の中でどのように変化・定着されてきたかを、残りの研究期間を考慮しながら、前段階として準備しておきたい。
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