2018 Fiscal Year Research-status Report
The Formation and Development of "Anti-communist Ideology" Education in Postwar South Korea: Focusing on Textbook and Field Study
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17K04725
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Research Institution | Oita Prefectual College of Arts and Culture |
Principal Investigator |
朴 貞蘭 大分県立芸術文化短期大学, その他部局等, 准教授 (80567008)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 韓国 / 道徳科 / 統一教育 / 分断意識 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度には、韓国の『2015改訂教育課程 道徳科教育課程』や『道徳②』における「統一教育」について考察した。 戦後における「統一教育」は、「反共・安保教育」から「統一教育」へ移行していく第5次教育課程期には、「統一・安保教育」という内容変更が行われた。その後、第6次教育課程期に入り、「統一教育」は実質的な南北関係における状況を克服するために変更されていく。第7次教育課程からは、2000年南北首脳会談の影響もあり、安保的な価値よりは民族の和解という側面が強調されるようになる。2009改訂にいたっては、南北間の「民族協調」よりは、「米韓協調」が重視される内容になり、世界的な普遍性を求める傾向があらわれた。さらに、2015改訂教育課程期には、平和統一に向けた新たなビジョンが掲げられ、「平和・統一教育」を目指す方向へと変化するようになる。 『2015改訂教育課程 道徳科教育課程』では、北朝鮮に対するバランスのある理解、統一の意味と価値を考えさせる単元内容と目標が掲げられており、この教育課程に基づき、2018年度に新しく発行された『中学校 道徳②』教科書は、全部9種類にわたる。これらの教科書は、出版社によって様々な特徴がみられた。共通してみられる特徴の中で最も注目すべきところは、統一教育院側からも指摘されている、若い世代に存在する「統一への実現意志(統一意識)離れ」に対する対策教材であった。各教科書では、「韓半島の統一価値」を分断背景から学ぶ歴史・民族的な側面だけではなく、「北韓住民の人権」を回復させるための人道主義的な側面、統一国家がもたらす経済的・文化的な効果などの側面、ひいては世界平和への貢献という側面からもその価値を位置づけている。 なお、韓国の「道徳科」教科書における「統一教育」には、多文化社会という時代の流れの中で新たな課題が問われていると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、平成29年度~32年度の4年計画のものであるが、平成29年度には、初等教育を中心とした内容が分析でき、平成30年度には、中等教育(とりわけ、中学校における教育課程と教科書)における「統一教育」について資料を収集、考察することができた。なお、毎年、その研究成果を日本比較教育学会(全国大会)で発表し、大学の紀要においても論文として公開できているため、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度には、この年に新たに発行される初等学校5~6年生用の教科書(道徳科)を収集し分析する。なお、平成30年度に一部収集できた戦後の道徳科教科書(初等学校、中学校)の分析とともに、収集できなかった残りの教科書も収集しつつ、残りの研究期間を考慮しながら、平成32年度のまとめ研究の準備をしておきたい。
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