2018 Fiscal Year Research-status Report
The development of the class to aim at learner oneself approaching in essence of the house life and ability to be thereby brought up
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17K04767
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
小川 裕子 静岡大学, 教育学部, 教授 (20136154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯野 由香利 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (40212477)
伊深 祥子 浦和大学, 人間学部, 准教授 (10616551)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 住生活授業 / 知識構成型ジグソー学習 / 実験 / 安全 / 平面図 / 将来の住生活 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、今日の多様化した格差の大きい住生活の実態を踏まえ、子ども達が「今」と「将来」において、必要に応じて自らの住生活を主体的に築いていくために必要な能力は何であるかを明らかにすること、そして、その能力の基礎を育てるために、住生活の本質に迫ることの出来る内容とその学習方法について、授業実践を通して明らかにすることを目的としている。平成29年度に実施した、高等学校における知識構成型ジグソー法による住生活の授業(自分の将来の住生活を考える、静岡)については、その成果を振り返ることから授業計画やエキスパート資料を中心に修正版を作成して、平成30年度には別の高等学校において授業実践を行い、現在、その成果を分析・考察中である。同様に、平成29年度に新潟の小学校で実践した実験を取り入れたジグソー法授業についても改善案を作成して、平成30年度には新潟だけでなく埼玉の小学校においても授業実践を実施して、現在、その成果を分析・考察中である。さらに、中学校については、平成30年度に、平面図を活用した安全を中心とするジグソー法授業を計画し、新潟、静岡、埼玉の各中学校1校において授業実践を行い、現在それぞれの成果を集計・考察中である。以上のように、平成30年度には、小、中、高等学校という各学校段階に於いて、それぞれ特徴的な学習内容・学習方法(ジグソー法という共通項を踏まえて)で住生活の授業を計画・実践した。児童・生徒がどのように学んで、どんな力をつけることができたのかについては、現在分析・考察中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、学習指導要領に示された小、中、高等学校の住生活に関わる盛沢山な学習内容を概括して捉え直し(小学校では建築環境工学の課題である温熱環境、気流、明るさ、音。中学校では住生活の安全性に関する諸課題。高等学校では将来の住生活を考える)、学習方法についてはいずれも知識構成型ジグソー法を取り入れることにした点が特徴である。ジグソー法を活用する大きな理由は、住生活に充てる授業時間数が小、中、高等学校のいずれにおいても限られている学校現場の実態を踏まえており、それに加えて、小学校では実験という実践的・体験的学習方法を取り入れ、中学校では安全というテーマの下で多方面から考察して、一枚の平面図に総合的に表してまとめるという方法、高等学校では、現在の住生活ではなく「(自分の)将来の住生活を考える」という、将来に展望を持てる総合的な課題を設定したことが、もう一点の特徴である。これらの授業について、平成30年度までに、小学校の実践は新潟市で2回(修正版を含む)、さいたま市で1回、中学校の実践は新潟市1回、静岡市1回、さいたま市1回(3地点で内容が少しずつ異なる)、高等学校の実践は静岡県内で2回(修正版を含む)実践を行っており、これから、成果について修正版等と比較して検討する予定である。1点、研究計画書に書いたPCK(教育活動の過程において機能させる知識の、依拠する源泉、実践の知恵)を検討するための資料(ベテランと新米教師の授業実践の実施)については、適切な授業者を設定することができず、得ることができなかった。しかしながら、小、中、高等学校という普通教育の3学校段階での適切な住生活の授業実践を計画・実践でき、授業プロセスにおける児童・生徒の貴重な資料を入手することができたという成果は大きく、これからこれらの資料を集計・分析して考察を深めたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は、研究代表者が家政学研究科住環境学専攻を修了し、同年4月に教育学部の家庭科教育担当の助手として着任してからちょうど40年目に当たり、この間、住生活教育に関する情報、研究成果を目にした際には、欠かさず入手してきたと自負する膨大な資料をもとに「住生活学習によって育つ能力」について整理することが一つの重要な課題である。文献の主なものは、①山﨑古都子「住教育に関する既往の文献整理と概念化」1989年科研費報告書、②在塚礼子「生活技術と家庭科教育Ⅱ―住まいの学習をめぐって―」1996年1月、日本家政学会誌、③荒井紀子他「住環境づくりへの主体的意識を育てる高校家庭科の授業開発」1999年1月、日本家庭科教育学会誌、④長澤由喜子他「住生活学習における批判的思考の導入」2002年3月、年報・家庭科研究、大学家庭科教育研究会、⑤久保加津代「高等学校家庭科教科書にみる持続可能な社会をめざす住生活力」2010年1月、日本建築学会計画系論文集等がある。以上の先行研究の整理作業は、平成30年度に実施した小、中、高等学校における住生活の授業実践研究で明らかにする予定である「住生活学習を通して育つ能力」についての考察を、より深め、確かなものにしてくれると考える。
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Causes of Carryover |
平成30年度に、静岡において授業実践を実施した時期が、中学校では2019年1~2月、高等学校では同様に2019年2月にずれ込んでしまい、生徒達の授業プロセスごとの記述についての資料は入手できたものの、まだ、データとして整理・入力を行っていない。前年度からの残金は、まず、資料の整理とデータ入力のための人件費として使用し、さらに、研究成果としてまとめてからは、学会誌に投稿する予定であり、投稿料・別刷り印刷代なども必要となる。その他、研究発表のための学会旅費、住生活など家庭科の学習によって育つ能力に関する資料の収集に必要な旅費に使用する。
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Research Products
(11 results)