2022 Fiscal Year Research-status Report
Globalization and the Formation of National Culture Viewed thtough Arts Education in Asia
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17K04793
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
石井 由理 山口大学, 教育学部, 教授 (70304467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 隆眞 山口大学, その他部局等, 名誉教授 (00142761)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 国民文化 / アジアの芸術教育 / 学校教育 / 国民アイデンティティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではアジアの学校の美術教育と音楽教育においてどのように現在の国民文化が形成されてきたかを、地元の文化、海外からの影響、学校教育の政策および実践などの観点から、美術教育では福田の四層構造モデル、音楽教育ではカムワンガマルの言語とアイデンティティのモデルを用いて検証してきた。令和4年度は年度前半にどちらの分野でもインドネシアでの実地調査を計画していたが、パンデミックが収束しなかったため、インドネシアの大学教員に依頼して入手したインドネシアのカリキュラムと教科書の分析、日本滞在中のインドネシアの教育関係者への聞き取り調査によって研究を進める一方、これまでに得られた調査結果に基づく成果を口頭および論文にて発表した。 音楽教育分野に関しては、令和4年7月17日から22日にオンラインで開催された国際学会第35回World Conference of the International Society for Music EducationのPost Colonial Music Educationのセッションに石井が参加し、台湾と韓国の戦後学校音楽教育に見られる国民音楽文化の形成について、それぞれ日本の植民地としての共通の体験をもちながら、どのように異なる国民音楽文化形成の選択をしたかを口頭発表したほか、インドネシアとシンガポールをカムワンガマルモデルを用いて分析した論文と、インドネシアの中学校音楽教科書分析の論文(福田との共著)を発表した。 美術教育分野に関しては、福田が、上記の石井との共著論文のほか、大学美術教育学会誌の査読付き論文として、インドネシアの美術教科書教材を四層構造を用いて分析した「インドネシアにおける中学校美術教育と独自文化」を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和4年度は前半にインドネシアの中心的な民族集団であるジャワ人の音楽および美術教育について現地フィールド調査を実施し、すでに調査をしたもう一つの大きな民族集団であるバリの事例と合わせてインドネシアの芸術教育の全体像に迫る計画であった。しかし、パンデミックが収束しなかったためフィールド調査を行うことができなかった。そのため代替として、インドネシア政府による国家としての国民芸術文化形成のための教育政策を分析することによって、現在行われている学校芸術教育の全体像を把握することに方向を転換した。具体的には、現大統領であるジョコ政権への移行時に導入された2013年のナショナル・カリキュラムと、それに基づいて教育省が編集した中等教育段階の芸術教科書の分析を行うこととし、インドネシアの大学教員に依頼して中等教育の芸術教科書を入手した。前期中等教育についてはナショナルカリキュラムと教科書の分析を終え、令和4年度に論文として発表した。しかし、後期中等教育の教科書に関しては文章による記述内容が非常に多く、翻訳に時間がかかるため、現在分析を継続している。
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Strategy for Future Research Activity |
進捗状況で述べたように、本研究のインドネシアに関する部分においては、すでに行ったバリ島での調査に加えて実施しようとしていたジャワ島でのフィールド調査を実施しないことに計画を変更した。令和5年度は、その代替として現在行っているインドネシアの後期中等教育の芸術教科書とカリキュラムの分析を継続し、その分析結果を論文としてまとめる予定である。さらに、本研究全体の目的である、日本を含めたアジアの国々の芸術教育における国民文化形成という観点から、これまで個々の事例として分析してきた台湾、シンガポール、韓国、インドネシア、そして美術分野におけるベトナム、の芸術教育と国民文化形成を横断的にとらえた研究を進め、口頭発表や論文による成果発表を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
令和4年度に研究成果発表のために参加した国際学会35thWorld Conference of the International Society for Music Educationは当初オーストラリアでの開催予定であったが、新型コロナ感染症パンデミックのために全面的にオンライン開催となったため、成果発表旅費がかからなかった。また、インドネシアでのフィールド調査もパンデミックが収束しないために実施しなかったが、代替として行ったインドネシアの中等教育の芸術教科書分析のための教科書購入にかかる費用を、インドネシア側の研究者が請求しなかったうえ、翻訳業務に携わるインドネシア人留学生の謝金も大学のRA費用でカバーすることができたため、本研究経費からは支出がなかった。令和5年度はスウェーデンのKarlstad大学で対面で開催されるIPC-The International Project 8th International Conference, 2023で音楽分野の口頭での成果発表を予定しており、このための旅費を支出する。また、令和6年度に開催される国際学会への参加に向けて、アブストラクト等の英文校閲費としても使用する予定である。
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Research Products
(4 results)