2017 Fiscal Year Research-status Report
小中一貫教育に展開できる新たな美術教育カリキュラムをリデザインする
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17K04872
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
松久 公嗣 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (00380379)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 小中一貫教育 / 図画工作 / 美術 / Reggio Emilia / カリキュラム |
Outline of Annual Research Achievements |
1:研究実践校(日本)の選定 事業の採択を受けて、連携小中学校について宗像市教育委員会と協議した。宗像市が進める小中一貫教育のうち、平成22年度から小中一貫教育を開始した一つの中学校区を選定し、各小中学校の校長等と協議した結果、中学校一校と小学校一校において実践的研究を進めることとなった。 2:連携小学校における実践 連携小学校において1年生2クラスと4年生2クラスの授業を担任と共同で行い、授業計画や準備、授業実践を進めながら、これまでの実施題材とその内容を確認するとともに、これまでの題材が児童の学習に積み重なっている様子を把握した。(9月:協議、10月-2月:授業実践) 3:研究実践校(イタリア)の選定 11月に連携するReggio Emilia市の小中学校担当者と協議し、研究実践校として小中学校各一校と協力校を選定するとともに、今後の研究計画の確認と組織の再編を行った。 4:Reggio Emilia市の教育行政に関する調査 日本の「学習指導要領」にあたる書籍が発行され、世界的に評価されている幼児教育の内容が小学校でも実践されるようになっていることが確認できた。書籍の内容を日本語訳することで、「学習指導要領」と比較・分析する予定である。芸術の学習が融合されている小学校と中学校を視察し、その特徴と可能性を検討した。 5:『日伊文化交流 小・中学校絵画作品展』の開催 日本の連携小学校から55点、中学校から24点を選抜し、イタリア展(2018/4/13-)の開催に向けて準備を進めた。授業作品については教科書の題材を開設したパネルを作成し、画一的な教科書が存在しないイタリアの教員の反応を確認する予定。 6:日本の小中一貫教育の調査 草加市と京都市の小中一貫教育の内容を調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画に関しては、資料の収集ならびに研究組織の再編において順調に進めることができた。組織が確定し研究計画に関する協議が想定よりも早く開始できたことから、連携小学校における共同授業を、想定する学年・クラス数を超えて実践できている。 教員の資質と児童・生徒の表現力について作品から比較分析をするにあたり、作品データや授業の様子は収集はできているが、教員の資質に関する十分な比較材料は不足していることから、妥当な項目の作成と比較・分析を進めたい。 交流作品展については、これまでの連携実績と日伊双方の連携協力者の熱意から、想定していた小学校分の作品に加え、中学校も加えて交流することとなった。すでに展示パネルの送付を終え、平成30年度にイタリア展と日本展を開催する予定である。 また、当初計画にはなかったが、イタリアの連携協力者を日本に招き、日本の教育現場を視察しイタリアとの比較・分析を行う平成30年度計画を立案した。イタリアの連携協力者は提供した日本の教科書やカリキュラムに高い関心を持っている。人材の交流によって言葉の壁を越えた課題と可能性の共有を図ることができると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
日本の小中一貫教育では、小学校図画工作科と中学校美術科の題材の関連図は作成されているが、具体的に題材が育てる資質・能力の視点から構築している例は無い。使用する教科書が変更されても問題なくカリキュラムを構成できるように、その地域の児童・生徒の特長に合わせて、資質・能力の視点に基づいた題材の積み上げ方法をデザインすることが重要である。 研究組織が整い、授業実践の試行も順調に進んでいることから、平成30年度以降は題材の連動を中心としたカリキュラムの構築と、具体的な授業開発を行い、実践と分析・改善を繰り返す。 研究計画としては、想定以上に連携協力者との連携が密に行えるようになったことで、イタリアでの現地調査に加え、イタリアの連携協力者を日本に招いて調査する手法へ一部変更した。双方の教育に関する基本的な理解が進むと考えられる。特に教員研修に関する考え方は小学校、中学校ともに大きく異なる。話すだけでは伝わらないことを視察することで補い、より深い実践へとつなげたい。
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Research Products
(1 results)