2017 Fiscal Year Research-status Report
機能的アセスメント・アプローチを用いた指導を負担なく実現する研修パッケージの開発
Project/Area Number |
17K04927
|
Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
加藤 哲文 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (90224518)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若林 上総 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, その他部局等, 主任研究員 (10756000)
神山 努 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, その他部局等, 研究員 (50632709)
遠藤 愛 星美学園短期大学, 幼児保育学科, 准教授 (80641745)
半田 健 宮崎大学, 教育学部, 講師 (90756008)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 機能的アセスメント / 行動問題 / 応用行動分析 / 個別の行動支援計画 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、特別な支援を要する幼児、児童生徒における行動上の問題に対して、機能的アセスメント・アプローチを保育や学校現場で普及させるための研修パッケージの開発を目的としている。そのために当該の保育士や教員が「負担なく」このアプローチの方法を実施し、幼児や児童生徒への指導・支援効果を得る条件を明らかにしていく。平成29年度は、第1に、研修パッケージの効果を評価するための指標を作成し、その指標の信頼性と妥当性を検討した。評価の指標としては、機能的アセスメントを実施する際に必要な「応用行動分析に関する基礎的知識」を把握するための基礎知識問題を先行研究を参考に作成した。そしてこの問題の評価基準の信頼性と妥当性を求めるために、行動分析学及び応用行動分析に関する専門家群と非専門家群に分けて回答を依頼し、その得点結果を分析した。その結果ほぼ仮説通りとなり、この基礎知識問題の信頼性と妥当性を担保することができた。第2に、研修パッケージを構築するために、これまで行ってきた申請者らの研究結果(加藤ほか, 2016)や他の先行研究から、行動問題に対する「個別の行動支援計画」作成のための付加的な促進手続きを検討した。試行的に実施した研修会時の参加者(保育士や教員)から得られた個別の行動支援計画書のデータを分析した。さらに内外の先行研究から指摘されている、当該幼児や児童生徒の行動観察・記録の様式の改善、研修会時の参加者へのフィードバック方法などの効果を検討し、次年度以降の研修パッケージの本格運用に向けた基礎データを収集した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の計画として、第1の目的として、研修効果の評価基準を複数作成することとし、「応用行動分析の基礎的な知識問題」の妥当性と信頼性、作成された個別の行動支援計画書の記載内容の完成度の評価基準を検討した。そして第2の目的として、平成30年度以降本格運用する研修会パッケージの作成に向けて、研修会参加者が保育や教育現場で負担なく行動問題への指導や支援が実施できることを実現する要因を検討した。そして、そのために必要な内外の資料を収集・分析し、また試行的に実施した研修会からのデータから、研修プログラムに含まれる演習や研修会講師によるフィードバックなどの要因を示した。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度以降は研修プログラムを本格的に運用し、そのデータを収集・分析を進めていく予定である。具体的には平成30年8月に実施予定の教員等を対象とした研修会において、平成29年度に作成した応用行動分析の基礎的知識問題や個別の行動支援計画書の完成度に関する評価基準を用いて、研修会参加者のデータを分析する。さらに研修会参加者の個別の行動支援計画作成時における作成時の行動や作成された内容を分析し、最終年度において予定している複数の研究参加者(教員等)の実際の児童生徒への指導行動の変容と、児童生徒の行動問題の改善の評価を実施していく予定である。
|
Causes of Carryover |
平成29年度において当初予定した研修会開催の協力校が少なく、したがって旅費及人件費・謝金の支出が少なかった。また研究データを収集・分析し、1年次の研究成果を米国で開催される「国際行動分析学会大会」で発表する予定であったが、研究データが当初の予定より少なかったため、平成30年度で追加収集し、この発表は平成31年3月に米国で開催される「国際積極的行動支援学会」で行うことになった。したがって、平成29年度に未使用であった約51万円は平成30年度に繰り越して使用する予定である。
|
Research Products
(8 results)