2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development and guidance on the dual processing of mentalizing and the metarepresentation in children with high functional autism spectrum disorder
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17K04931
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
別府 哲 岐阜大学, 教育学部, 教授 (20209208)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 義信 愛知県立大学, 教育福祉学部, 名誉教授 (00036675)
工藤 英美 愛知みずほ短期大学, その他部局等, 講師(移行) (90803726)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 心の理論 / 前提確認質問 / メタ表象 |
Outline of Annual Research Achievements |
心の理論を測定する誤信念課題(サリーとアン課題)は、①物を移動した際登場人物はそこにいなかった、②「いなかった」から登場人物は物の移動を見なかった、③「見ていなかった」から登場人物は物の移動を知らないか、④だから登場人物は物が移動する前の場所にあると誤って信じている、という推測によって成立すると考えられる。サリーとアン課題に誤答した4,5歳の定型発達児に、上記①~③の前提確認質問を行うと、それにすべて正答した者は、再度サリーとアン課題の回答を求めた際、誤答が正答に変容した。ところが、自閉スペクトラム症児には、①~③の前提確認質問にすべて正答しても、続けてサリーとアン課題を行うと、最後の誤信念質問には誤答のままであった。この点は、自閉スペクトラム症児が、ただ心の理論が欠損しているのではなく、定型発達児とは異なったプロセスと内容で心の理論を形成する可能性を示唆している。サリーとアン課題に正答するようになる4、5歳の定型発達児は、上記の①~③を、言語では説明できないが振る舞いとして理解することで、④の回答に至る。そのため、誤答したものも、言語的に①~③を一つづつ確認すれば、自分の振る舞いとしての理解の誤りに気づき、正答に自己修正が可能なのである。一方、自閉スペクトラム症児は、①~③までの理解と④の理解がつながっていない可能性が示唆された。前年度まで実施してきた、多義図形課題にみられるメタ表象においても自閉スペクトラム症児は、定型発達児と異なったプロセスと内容を有することが指摘されている。メタ表象は心の理論を形成する能力でもある点から、本研究の結果は、これまでのように自閉スペクトラム症児に、欠損している心の理論を教えることとは異なる支援の在り方を検討する必要性を強く指摘するものである。
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Research Products
(5 results)