2017 Fiscal Year Research-status Report
Distribution control of sugar chains for the highly sensitive influenza bio-sensor system
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17K05010
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
河原 敏男 中部大学, 工学部, 教授 (80437350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大海 雄介 中部大学, 生命健康科学部, 助手 (10584758)
中内 靖 筑波大学, システム情報系, 教授 (50361324)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | バイオセンサ / ナノカーボン応用 / 糖鎖の評価・最適化 / インフルエンザ感染性 / 糖鎖分布制御 / 機械学習 / ウイルス定量化・比較 / センサーネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で開発するバイオセンサは、グラフェンFETの表面にレセプターである糖鎖プローブを展開したものであり、糖鎖プローブのシアル酸配位によりインフルエンザウイルスの感染宿主を選択的に結合させる。そこで、効率的な検出のための糖鎖プローブの分布制御を行った。糖鎖プローブの最適化において、基板との吸着力が弱いと洗浄プロセスにより展開分子の減少が起こるため、また、糖鎖プローブ構造の最適化のため、展開手法の比較を行った。ここでは、糖鎖中のアミノ基による結合、ウシ血清アルブミン(BSA)固定化による結合、及び、高分子鎖による結合を用いる手法について述べる。シアリルラクトースのアミノ基を用いた展開に関して原子間力顕微鏡(AFM)で観察すると、展開状態は高さが1 nm以下程度とそろった状態にあるが、ウイルスとの反応性が検出できなかった。そこで、BSA固定化により展開すると、ウイルスの感染性に応じた特異的反応性を示した。この場合、BSAが基板への吸着サイトとして働いていると考えられる。高分子鎖を用いた展開でも同様にウイルスとの選択的結合を検出できた。AFM像から、高分子鎖で基板に吸着し、側鎖のみがプローブとして配置された状態であることがわかり、結合性のゆらぎが少なく比較的安定したプローブとなっていた。次に、Sialylglycopeptide (SGP)の評価を行った。SGPでは、アミノ基による展開でもウイルスとの反応性が検出可能であり、反応性が高いデータも得られた。しかし、高分子鎖を用いたプローブに比べて反応性のゆらぎが大きかった。一方、ウイルスと細胞や糖鎖の結合に関して、微小な信号を解析しなければならないため、多数の感染実験から結合性を評価する必要がある。解析効率の向上により大電流化の要件の緩和が期待されるため、反応評価実験に使用するウイルスのプラーク写真の画像解析による定量化を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度は、シアリルラクトースとSialylglycopeptide (SGP)の分布制御を進めた。高分子鎖を用いたシアリルラクトサミンの展開では、ウイルスとの選択的結合を検出でき、この場合、AFM像から、高さが0.6 nm程度でそろっていることが分かった。また、結合性のゆらぎが少なく比較的安定したプローブとなっていた。一方、SGPを用いた分布制御ではアミノ基のみでは安定した展開ができなかった。そこで、BSA固定化による展開を検討し、AFM観察では良い結果を得ている。今後、ウイルスとの反応性を詳細に調べることで、BSA固定化プロセスの可否を明らかにしていく予定である。SGPに関して展開状態の安定性までで反応性の実験が不十分だったのでやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
糖鎖を2本鎖でシアル酸を持つSialylglycopeptide (SGP)の糖鎖プローブとしての評価も進めた結果、反応性が高いデータが得られ、プローブとして適当であると思われる。しかし、高分子鎖を用いたプローブに比べて反応性のゆらぎが大きかった。また、AFM像からも高さの分布が見られた。そこで、固定化手法の改良としてBSA固定化を進めている。AFM像では、比較的安定しているようであり、さらに、糖鎖に集中部分と疎な部分があり、適度の空間的距離を取っていて、細胞上の糖鎖に近い配置となっている。今後ウイルスとの反応性を調べて最適化を進める予定である。 画像解析では、色調変化処理を行った後、画像解析によるプラークをカウントしたところ比較的良好であった。また、一つのプラークを分割して多くカウントしてしまうものに対しては膨張処理が適していることがわかった。さらに、小さいものを除外するための閾値を機械学習により設定することでより正確なカウンティングが可能になると思われる。ここで開発したAIを各種条件のインフルエンザウイルスに適用して定量化の精度を上げていきたい。
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Causes of Carryover |
糖鎖の展開プロセスに集中したため、デバイス作製の消耗品を使わなかったので消耗品を繰り越すことになった。平成30年度は、ウイルスとの反応性に集中して細胞培養等に消耗品を支出し、糖鎖プローブが安定してからデバイスへの展開を行う予定である。
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[Presentation] グラフェンFET上でのインフルエンザウイルス/抗体結合のウレアーゼ反応による検出2018
Author(s)
山本佳織, 小野尭生, 牛場翔太, 金井康1, 谷奥正巳, 大野恭秀, 前橋兼三, 井上恒一, 渡邊洋平, 中北愼一, 河原敏男, 鈴木康夫, 木村雅彦, 松本和彦
Organizer
第65回応用物理学会春季学術講演会
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[Presentation] 多チャンネルグラフェンFETによるインフルエンザウイルス検出2018
Author(s)
黒松亜紀, 小野尭生, 牛場翔太, 金井康, 谷奥正巳, 川田拓哉, 大野恭秀, 前橋兼三, 井上恒一, 渡邊洋平, 中北愼一, 河原敏男, 鈴木康夫, 木村雅彦, 松本和彦
Organizer
第65回応用物理学会春季学術講演会
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[Presentation] マイクロウェルと複合化したグラフェントランジスタを用いたインフルエンザウイルスのヒト感染性と亜型の鑑別2018
Author(s)
山中天志, 白井充, 小野尭生, 牛場翔太,金井康, 谷奥正巳, 大野恭秀, 前橋兼三, 井上恒一, 渡邊洋平, 中北愼一, 河原敏男, 鈴木康夫, 木村雅彦, 松本和彦
Organizer
第65回応用物理学会春季学術講演会
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[Presentation] インフルエンザバイオセンサー開発のための糖鎖分子の比較2017
Author(s)
河原敏男, 平松宏明, 大海雄介, 鈴木康夫, 林京子, 中北愼一, 渡邊洋平, 大野恭秀, 前橋兼三, 小野尭生, 金井康, 松本和彦
Organizer
第78回応用物理学会秋季学術講演会
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[Presentation] 細胞表面環境を模したグラフェンFETによるインフルエンザウイルス検出2017
Author(s)
川田拓哉, 小野尭生, 金井康, 大野恭秀, 前橋兼三, 井上恒一, 渡邊洋平, 河原敏男, 鈴木康夫, 中北愼一, 松本和彦
Organizer
第78回応用物理学会秋季学術講演会
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