2019 Fiscal Year Annual Research Report
Study of the structure and behavior of hydrogen on the defects near the surface of single crystal and thin film of TiO2
Project/Area Number |
17K05052
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
松本 益明 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (40251459)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | チタン酸化物 / 水素 / 核反応解析法 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度においては,チタン及び酸化チタン試料に対する水素の吸収・放出特性の研究とアナターゼ型二酸化チタンナノ粒子の水素化にともなう黒色変化の測定をおこなった. チタン(Ti)との比較対照実験として,やはり水素吸蔵特性を持つバナジウム(V)について,無酸素パラジウム(Pd)/V薄膜への水素の吸収・放出特性を核反応解析法(NRA)により測定・解析した結果,Pd/V薄膜への水素の吸蔵速度はPd/Ti薄膜に比べて1桁ほど小さく,Tiの水素吸蔵能力の高さが極めて高いことが分かった. 二酸化チタンの水素化については,単結晶資料が入手可能なルチル型の結晶を用いてNRAによる水素の深さ分布の測定と光電子分光(XPS, UPS)による電子状態の測定をおこなった.アナターゼナノ粒子の場合と同様にルチル単結晶においても,原子状水素への曝露により黒色変化することが分かったが,色の変化率が途中で変化する2段階のプロセスがあることが分かった.さらにUPSの結果から,黒色化に伴い,バンドギャップが狭くなっていること,ギャップ中に電子状態は観測されず,過去に測定された水素イオン照射後の電子状態とは異なっていることが分かった. アナターゼ型ナノ粒子の黒色変化については,水素雰囲気中に水不純物がある場合について原子状水素による黒色変化過程を測定した.水素の圧力が高いほど水素との反応速度が増加し,短い時定数で黒色化が進むが,水が存在する場合,黒色化が途中で止まることが分かった.二酸化チタンと水素との反応においては,表面の酸素が水素と結合し,水として放出されて表面の欠陥が増加し,黒色化すると考えられているが,水が存在すると,この逆反応が起きて黒色化が抑えられるのではないかと考えている.これらの結果は水素化による二酸化チタンの光触媒特性改善への基礎的なデータとして有用であると考えている.
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