2019 Fiscal Year Research-status Report
物質循環を考慮した数理モデルの作成による生命システムの自己組織化原理の解明
Project/Area Number |
17K05361
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
上田 肇一 富山大学, 学術研究部理学系, 教授 (00378960)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 数理モデル / 物質循環 |
Outline of Annual Research Achievements |
生物は,個別の機能を持つモジュールの集合から構成され,システム全体としての環境適応性は外界の変化に対するモジュール間相互作用の適切な制御によって実現される。モジュールの故障やネットワークの切断など,システムの性質が大きく変更した際にも機能を維持させるためには,モジュール間相互作用の関数形を自発的に変更する必要がある。本研究では,生命システムの機能維持の仕組みとして物質循環に着目し,神経ネットワーク及び細胞運動に対して,物質流動効果を考慮した数理モデルを提案する。さらに,自己組織化現象に対する数理解析手法を開発することによって,外部環境変化に対するシステムの自発的機能維持の仕組みを解明する。 これまで,我々はFitzHugh-Nagumo型の非線形性を活用した常微分方程式で記述される数理モデルを導出し,経路探索問題をテーマとして環境適応性を示すモデルの提案を行った。数値実験により,提案モデルが経路をロバストに発見する性質,及び,局所的なネットワーク切断に対する柔軟な解探索機能を有することを示した。今年度は,提案アルゴリズムの高速化のために数理モデルの離散モデル化を行い,数値実験により上記のロバスト性と柔軟性を示すことを確認した。提案モデルを工学的課題に応用するために,階層型ネットワークモデルを作成し,経路探索問題を並列で計算する手法を提案した。また,このモデルをロボットアーム制御課題に応用する試みを行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまで提案した数理モデルが示した解探索のロバスト性と柔軟性を,状態遷移モデルにおいても実現可能であることを示すことに成功した。しかし,モデル作成に時間を要したため論文の完成に至っておらず,計画よりやや遅れている状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
状態遷移モデルをロボット制御へ応用する形で数理モデルを改変する計画である。また,状態遷移モデルに関する論文を完成させる。
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Causes of Carryover |
本研究課題では,自律分散システムの構築,特にネットワーク上での力学モデルの作成が重要な課題となっている。数値計算の効率化を目的に実施したネットワークモデルの離散モデル化の作業が遅れており,数値シミュレーションの高速化の実現に至っていない。そのため,計算アルゴリズム開発とその実装を完了させるために研究期間を延長する。
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Research Products
(7 results)