2017 Fiscal Year Research-status Report
Topology of configuration space model for viewing flow lines of flexible molecules
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17K05366
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
小松 和志 高知大学, 教育研究部自然科学系理学部門, 教授 (00253336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 了 東京理科大学, 薬学部生命創薬科学科, 教授 (50253232)
江居 宏美 弘前大学, 理工学研究科, 助教 (60333051)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 数理モデル / チェイン / 配置空間 / 多面体的曲面 |
Outline of Annual Research Achievements |
直鎖状炭化水素分子の数理モデルである四面体角をボンド角とするストレートチェインに対して,次の結果を得た。数理モデルの配置空間において,5及び6本のボンドから成るストレートチェインの長さの二乗により定義される関数を調べ,平面配置をもつ臨界点を決定した。この結果は原著論文として発表済みである。 環状炭化水素分子の数理モデルである閉チェインに対しては,今年度は炭化水素分子の数理モデルに適用する前に,ボンド角を90°と108°という取扱いがしやすい角度の多面体的アニュラスに対して,リバーシブルかどうかということと平面的な配置の再配置問題について研究した。ボンド角を90°の場合には,偶数枚の直角二等辺三角形をつなぎ合わせて得られる環状の離散的曲面である多面体的アニュラスを扱う。多面体的アニュラスが表裏を裏返す折り紙変形を許すとき,リバーシブルであるという.リバーシブルであるための,直角二等辺三角形の数の条件を調べ,6枚まではリバーシブルではなく,8枚以上ではリバーシブルであることを示した。対応する閉チェインに関して,配置空間の連結成分が得られることになる。ボンド角を108°の場合には,有限個の正5角形の辺を,つなぎ合わせて得られる多面体的アニュラスを考えた。これを正5角形リングと呼ぶことにする。この正5角形リングの全ての正5角形が同一平面上にあるとき,平面的であるという。平面的であるという条件をもつ場合は再び変形をし直すことで,1つの正5角形の形に折り畳むことができることを示した。この証明の副産物として得られた平面的な正5角形リングの構成法を用いると複数の形に折り畳み変形で再配置できる平面的な正5角形リングが構成される。これらの結果は高知大学理工学部紀要に発表済みである。また,これらの結果から、この多面体的アニュラスを用いることの有用性が確認された。次年度につなげてゆく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
直鎖状炭化水素分子の数理モデルである四面体角をボンド角とするストレートチェインに対して,配置空間の長さの二乗関数の臨界点に関する結果を得ている。また,環状炭化水素分子の数理モデルである閉チェインに対して,リバーシブルと再配置可能性に関する結果を得ている。特に後者は多面体的曲面モデルを用いて研究をおこなった。 当初、多面体的曲面モデルの模型を3Dプリンタを用いて作成し,研究を進めることを計画していたが,3Dプリンタを用いた場合,作成時間が長くかかり過ぎることと,仕様を頻繁に変える必要に迫られたため,3Dプリンタの使用を断念した。代替案として十分な剛性の強度をもつ紙材料を用いることで,円滑に研究を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
直鎖状炭化水素分子の数理モデルである四面体角をボンド角とするストレートチェインに対して得られた結果も,環状炭化水素分子の数理モデルである閉チェインに対して対して得られた結果も,それらに続く研究が期待できるものである。ストレートチェインに対ししては,より炭素の数が多い直鎖状炭化水素分子の場合への結果の拡張を目指し,閉チェインに対しては,他のボンド角の場合でのリバーシブルと再配置可能性に関する結果を得ることを目指す。多面体的曲面の模型の製作は平成29年度に3Dプリンタの代替案として見つけた紙材料を用いることで引き続きおこなう。また平成29年度には本研究と研究手法において関わりの深い準結晶の数理モデルであるタイリングに関する次の結果を紆余曲折を経て論文として発表することができることになった。強非周期的なタイリングは,無限巡回群による対称性をもち得ないタイリングとして定義される。MargulisとMozesにより見つかったタイル,それはタイリングを構成することはできるが,構成されるタイリングの基本的領域はコンパクトでない双曲菱形タイルによる単一の頂点配置をもつ強非周期的双曲線タイリングが同型に関して非可算無限種類,構成できるということを証明した。この関連研究に続く研究も加速されるものと考えている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は研究の進捗状況とは無関係である。 残額の94円では本研究に必要であるものに使用することが、その額では無理であった。次年度と合算して使用することが、適切であると考えられ、繰り越すことを決定した。
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Research Products
(2 results)