2021 Fiscal Year Research-status Report
ニュートリノ実験および原子炉モニターのための水ベース液体シンチレータの開発研究
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17K05467
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
鈴木 州 神戸大学, 理学研究科, 助教 (20243298)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 水ベース液体シンチレーター液体シンチレーター |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、液体シンチレーターからの発生光量について、一部過去の測定結果を再現していないことが疑われる結果を得た。これは、発生光量の較正方法に問題があるのではないかと考え、今一度見直すことにした。これまでは青色LEDをパルス的に発光させ、光電子増倍管の特性を利用して光量較正を行ってきたが、これは一般に知られた方法である。そのため、方法自身ではなく、測定が正しく行われているかどうかを慎重に検討することにした。その結果、光量の較正は正しく行われていることが確認された。測定結果が再現していないように見えたのは、液体シンチレーターの経年変化による劣化が思ったより大きいことによるものであるとわかった。 上記のように、液体シンチレーターは経年変化によって劣化していくが、使用にあたっては事前にそれがどの程度であるかを知っておくことは大変重要である。本研究では、液体シンチレーターの経年変化についての観測も行っている。その結果、発光量が落ちて使用に耐えなくなる場合もあるが、ものによっては変質してしまって液体シンチレーターとしての性質を全く失う場合があることがわかった。 本研究で作成した液体シンチレーターの作成方法や光量測定の方法・結果、経年変化についてなど、これまで得られた研究成果は、同様な水ベース液体シンチレーターについての研究を行っている研究者と情報交換を行うことによって互いの今後の研究に役立てた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度、一昨年度に引き続き、新型コロナウイルスによる影響で業務が増え、研究時間に割く時間が短縮された。また、必要な出張も制限され、それも研究の進捗に影響している。 本研究が遅滞している間に新しい研究を進める必要も生じ、それがさらに本研究を遅らせるという悪循環も生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度も引き続き新型コロナウイルスによる影響を受けることになるが、その中でもできる限り研究を進めていく。 まずは、発光量ができるだけ多い水ベース液体シンチレーターをこれからも探していく。将来的に実用の見込みのあるシンチレーターについてはガドリニウムを溶かすことにより、中性子同定ができるかどうかを試みる。 経年変化観測も引き続きおこなっていくが、研究期間が延びたことによって研究期間内に得られる情報が増えるというのは逆に利点となる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスによる影響で研究が遅れているため、次年度使用額生じた。使用計画としては、物品費(消耗品、備品)と出張費を考えている。
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