2019 Fiscal Year Annual Research Report
development of a thin neutron detector for a S=-1 dibaryon search with $\pi\SigmaN$ decay mode
Project/Area Number |
17K05481
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
佐久間 史典 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 専任研究員 (10455347)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | K中間子原子核 / K-pp / πΣN崩壊 / Λ(1405) / 中性子検出器 |
Outline of Annual Research Achievements |
K-pp束縛状態は反K中間子原子核--反K中間子と原子核の強い束縛状態--の最も簡単な状態であり、我々J-PARC E15実験によってK-+3He->Λpn終状態中のΛp不変質量においてその存在が示された。本研究ではK-+3He->πΣpn終状態を用いて、K-pp束縛状態のπΣp崩壊、及び、Λ(1405)pn終状態を調べることにより、反K中間子原子核の理解を深化させることを目標とする。 我々は既に、E15実験データを用いた解析において、既存のホドスコープ(プラスティック・シンチレーター、厚み3cm)を用いたΣ->πn崩壊検出に成功し、Λ(1405)のπΣ崩壊を捉えることに成功している。本年度は、中性子識別において問題となるバックグラウンドの調査を進め、サイドバンド方を用いてバックグラウンド除去を行った。これらの手法の妥当性は、モンテカルロ・シミュレーションを用いて確認した。 これら解析の結果、Λ(1405)pの生成断面積はK-ppがΛp崩壊する生成断面積に比べて10倍程度大きいことが分かった。Λ(1405)は反K中間子と核子との束縛状態であると考えれるため、この結果は反K中間子原子核の生成過程解明の糸口となると期待される。また、Λp不変質量で見られたK-pp質量閾値以下に存在するK-pp束縛状態起源のピーク構造は、πΣp不変質量においては見られなかった。これは、πΣp質量閾値がK-pp質量閾値に近いために、崩壊位相空間が制限され、K-pp束縛状態のπΣp崩壊が抑制されスペクトラムが変化しているためだと考えられる。これらの結果をまとめた投稿論文を現在最終準備中である。 また、E15実験を含めたJ-PARCで行われているハドロン実験全般のレビュー論文をPPNPに投稿した。
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Research Products
(8 results)