2018 Fiscal Year Research-status Report
近藤半導体の異常磁気秩序と局所反転対称性の破れによる奇パリティ多極子秩序
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17K05546
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
谷田 博司 富山県立大学, 工学部, 准教授 (00452615)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西岡 孝 高知大学, 教育研究部自然科学系理工学部門, 教授 (10218117)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 強相関電子系 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主たる目的は、主に2つある。1つは、セリウムを含む三元系金属間化合物の近藤半導体(1-2-10系)における異常な反強磁性秩序の起源の解明である。近藤半導体での反強磁性秩序は、非常に珍しい。これについては、中性子実験、光電子分光実験の共同研究に向け、試料合成を準備しており、次年度には実験を行う計画である。 2つ目は、原子のナノ配列構造の特徴、特に磁性イオンサイトにおいて、局所的に空間反転対称性の破れた構造を持つ系における、いわゆる奇パリティの多極子自由度が生み出す新規な異常物性を実験的に見出すことである。先の近藤半導体は、磁性イオンサイトがジグザグ鎖状に連なった構造を有すことが特徴である。一方、昨年度より新たに研究を開始したセリウム-コバルト-シリサイド(1-1-1系)については、四面体構造が2次元平面を形成するという特徴がある。四面体配位は、4回の回反対称性は有すが、反転対称性の欠如した代表的な構造である。これまで多結晶についてのみの物性報告ばかりであったが、今回、単結晶の合成に成功した。これは世界初である。単結晶を用いて行った磁化、比熱、電気抵抗の結果と結晶構造の特徴についてまとめた論文を年度末に投稿し、年度明けすぐの4月に受理された。この単結晶合成をきっかけに、詳細は省くが、共同研究を大きく展開することとなった。また、新たに或る新物質の単結晶合成にも成功した。結晶構造が過去の文献で報告されているものとは異なる可能性があり、現在、解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度より新たに研究をはじめたセリウム-コバルト-シリサイド(1-1-1系)において、世界で初めて単結晶合成に成功した。これを受け、共同研究を大きく展開した。 翌年度、さらにその先において、大きく研究が進展するきっかけになると考えている。現段階で既に、電子物性、構造物性、圧力下での物性など、プレリミナルな結果が得られている。また、結晶構造および電子構造的観点からも興味深い系の単結晶合成にも成功した。以上の試料合成の観点からの大きな進展から判断し、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
まずはセリウム-コバルト-シリサイド(1-1-1系)の共同研究に向け、単結晶試料を合成する必要がある。測定状況に応じて、関連する参照系の単結晶合成も行う必要があると予想される。それらの合成方法の確立が急務となっているが、同じ方法で、コバルト、シリコン以外の元素の組合せでの単結晶合成を試みることで、研究の舞台の裾を広げる計画である。また、新たに合成に成功した単結晶試料については、構造を決定し、基礎的な物性データを揃え、論文にまとめる計画である。
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Causes of Carryover |
小額の研究費を年度毎に費やすよりも、まとめて有効に活用するため。
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Research Products
(15 results)
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[Presentation] CeRu2Al10における電流誘起磁化2019
Author(s)
高力暁成, 山本将隆, 鹿内奈南, 齋藤開, 田端千紘, 日高宏之, 柳澤達也, 網塚浩, 谷田博司, 松村武, 世良正文
Organizer
日本物理学会第74回年次大会(2019年)
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