2017 Fiscal Year Research-status Report
Self-bound quantum droplets in magnetic superfluids
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17K05595
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
斎藤 弘樹 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (60334497)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ボース・アインシュタイン凝縮 / 超流動 / 磁気双極子相互作用 / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、強い磁気モーメントを持つ原子気体のボース・アインシュタイン凝縮体が自己凝集して安定化する機構と、その系の性質を明らかにすることである。この研究目的に関連して、今年度はいくつかの成果が上がった。 一つは、強い磁気モーメントを持つ2成分ボース・アインシュタイン凝縮体の不安定性に関する研究成果である。2成分凝縮体の安定性は通常、成分間の短距離相互作用によって決定される。これに対して、我々は強い磁気モーメントを持つ系を考え、磁気モーメント間の双極子-双極子相互作用によって不安定性が生じることを見出した。今回見出した不安定性は、2成分間の界面に生じる不安定性である。磁気双極子相互作用によって、2成分間の界面が変形し、キノコ上のパターンが形成されるレイリー・テイラー不安定性が生じることを明らかにした。また、この不安定性が生じる条件や、様々なパラメータ依存性を調べた。この研究論文は、Physical Review誌のEditor's choiceにも選ばれ、多くの研究者の注目を集めた。 もう一つの成果は、量子多体問題を解く新しい手法を開発したことである。ボース・アインシュタイン凝縮体の自己凝集は量子多体効果に起因していると見られており、それを研究する手段に利用できるかもしれない。この新しい手法は、現在急速に進歩している、ニューラルネットワークを用いた機械学習によるものである。我々はこの方法をボース・ハバード模型に適用し、量子多体基底状態を精度良く計算できることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
磁気双極子相互作用するボース・アインシュタイン凝縮体に関する研究成果が上がっているため、研究は着実に進捗していると言える。また、当初の目的にはなかった、量子多体問題を解く新しい手法の開発にも着手し成果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
ボース・アインシュタイン凝縮体の安定性に関する研究を、今後も推進する。それだけでなく、量子多体問題に関する研究にも着手する。これまでの研究は、平均場近似を用いたものが多く、量子多体効果を取り入れるとしても、平均場近似がベースとなってそれに補正を加える程度であった。これに対して、機械学習を利用した新しい方法で、量子多体問題の解析を平均場近似を用いずに直接行うという方向にも研究を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
次年度に新しい高性能計算機が発売される可能性があるため、今年度の購入を見合わせた。また、翌年度分の助成金と合わせて、より充実した性能をもつ計算機を導入する。
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