2018 Fiscal Year Research-status Report
Petrological investigation of pre-eruptive processes of Aso-5 magma reservoir
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17K05682
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
長谷中 利昭 熊本大学, くまもと水循環・減災研究教育センター, 教授 (50202429)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 阿蘇カルデラ / カルデラ噴火 / マグマ供給系 / 噴火準備過程 / メルト包有物 / 阿蘇中央火口丘軽石 |
Outline of Annual Research Achievements |
阿蘇5の準備過程を知るには,珪長質マグマ溜りの成長過程を知ることが重要である.マグマ供給系の物理化学条件の変化を知るために,阿蘇4巨大噴火以降の珪長質マグマの活動,すなわち阿蘇中央火口丘第1~第6軽石(ACP1~6)に焦点を当てた.今年度は第1~第4軽石(ACP1~4)の全岩分析,鉱物分析,鉱物に含まれるメルト包有物の分析を行い,米塚,中岳等,完新世の玄武岩マグマの供給系との比較を行った.分析した軽石の組成・給源は,ACP1:黒雲母複輝石デイサイト,不明,ACP2:複輝石デイサイト,草千里ヶ浜火口,ACP3:黒雲母複輝石流紋岩,高野尾羽根,ACP4:複輝石デイサイト,立野溶岩火口である.またACP3/4間に給源不明のかんらん石,両輝石を含むスコリアを発見した. これらの軽石,スコリアに含まれるメルト包有物の分析をしたところ,組成が狭い範囲に集中するもの,直線的トレンドを示すもの,広くばらつくものの3つのパターンが認められた.ACP1はSiO2=60~70 wt.%の範囲で組成が大きくばらつき,K2O含有量が他のものより高かった.ACP2, 3, 4はSiO2=70~75 wt.%の中で,狭い組成範囲に集中し,それぞれK2Oレベルが異なった.ACP3/4はSiO2=50~65 wt.%で直線的なトレンドを描き,完新世のスコリアの組成パターンに似るが,K2Oレベルが少し低い.大規模噴火を起こした阿蘇4マグマは,いくつかの組成のマグマの混合パターンを示し,層状で各層が均質なマグマ溜りの存在が推定できる.現在の中央火口丘群の活動を見ると,ACP4,3,2では均質なマグマ溜りの成長が認められるが,その後,火道が北に移動しACP1で幅広い組成の混合マグマを「吸い出した」後に,完新世の玄武岩マグマの活動に移行した.ある程度の規模の珪長質マグマ溜りは4千年前以降発達していないと思われる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度,達成できなかった阿蘇4軽石,スコリアの分析は今年度もできなかった.代わりに優先順位が高い阿蘇中央火口丘第1~第4軽石(5.5万年~1万年前)の分析,完新世(4000年前~現在)スコリアの分析に注力した.阿蘇4については以前,研究室で行った予察的研究(山崎ほか,2015,JPGU Abstr)を参考にし,温度・圧力等の推定は最終年度に回すことにした.阿蘇4以降の中央火口丘群の火山噴出物に含まれるメルト包有物の分析結果から,阿蘇4以降のマグマ供給系のモデルがかなり明確になった.
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Strategy for Future Research Activity |
9万年前の阿蘇4から現在までの阿蘇火山のマグマ供給系の全体像が描けたので,最終年度はデータの補充.さらに阿蘇4噴出物のメルト包有物の再測定と温度・圧力等の推定.時間的余裕があれば,阿蘇中央火口丘第5~第6軽石の採集および鉱物分離,メルト包有物の分析をしたい.温度・圧力・含水量などの推定,完新世スコリアとの比較をしたいと計画している.
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Research Products
(17 results)