2019 Fiscal Year Annual Research Report
Pattern formation using self-propelled motors which have high nonlinearity
Project/Area Number |
17K05835
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中田 聡 広島大学, 統合生命科学研究科(理), 教授 (50217741)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 自己駆動体 / 時空間パターン / 非線形 / 非平衡 / 表面張力 / 表面圧 / 分岐 / 振動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、表面ポテンシャルの性質と反応拡散のダイナミクスをターゲットにして、特徴的な運動パターン発現に必要な非線形性を実験的・理論的に究明し、ミクロとマクロから実験系を設計した。まず、非線形性を持ち駆動力に関わる分子を合成又は選出し、表面ポテンシャルと反応拡散の評価とともに実験条件の最適化を行った。そして、自己駆動モーターの実験結果を理論と実験系にフィードバックし、検証と改良を繰り返した。最終年度では、イミダゾールから構成される両親媒性分子膜の単量体(UV照射)と二量体間(UV非照射)の光応答に依存した樟脳円板の水面滑走について実験的に研究した。その結果、単量体よりも二量体の方が表面圧が高くなることから、光照射によって樟脳円板の運動様相を制御することに成功した。これにより、分子情報と光照射条件に基づいて得られた表面ポテンシャルに依存して、自己駆動モーターが特徴的な運動様相を示す実験系を構築することに成功した。次に、化学反応とカップルした駆動力分子の特徴的な運動様相について実験研究を行った。具体的には表面張力を低下させるクマリンを自己駆動体として使用し、水相中の塩基と水面で反応して、表面張力を低下させないクマリン酸イオンを生成させた。化学反応中は駆動力が得られず停止状態、反応が終わると拡散律速によって駆動量が得られることを利用して、振動運動を発現させることに成功した。つまり振動運動の周期(停止状態の期間)は塩基濃度が高い場合すなわち反応時間が長い場合に相当する。そして研究機関全体を通して、反応拡散の速度バランスから、自己駆動によるパターン形成する系を、分子レベルから発現・制御することに成功した。これまでの自己駆動体の研究では、単指向運動やランダム運動だけであったが、非線形科学の導入により、より自律性の高いあたかも生き物のように振る舞うモデル実験系を構築することができた。
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Research Products
(18 results)
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[Book] Self-organized motion2019
Author(s)
Satoshi Nakata, Véronique Pimienta, István Lagzi, Hiroyuki Kitahata, Nobuhiko J. Suematsu
Total Pages
371
Publisher
Royal Society of Chemistry
ISBN
10.1039/9781788013499
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